<クリスマス企画小説>

「 永 劫 な り し セ レ ス 国 」




汝見たもうや
さやけくも聖なる光
雪と氷の都に
そは舞い降りる
汝見たもうや
聖しこの夜


「・・・綺麗な詩・・・・。」
「うん、綺麗だね。」
開いていた絵本を静かに閉じる。
ふかふかした敷き物に、腰を下ろし、2人で過ごす『時間』。
「ファイ。」
「ん?何だい?」
「ファイの目、とっても哀しそう。」
獣の耳をぺたりと伏せて、その愛くるしいまでの微笑みで己をまっすぐに見つめてくる。


「チィは可愛いね。」


自分が作り出した『魔法生物』。
本来『生命の創造』は神の領域を侵すこと。
いわば、『忌まれるべき事』。
ましてや自分は『男』。
生命を生み出す『女』ではない。
それでも、なお。
自分は『生み出した』。


――――――――何故?


その答は、自分にもわからない。
ただ、口に上せた言葉に応えてくれる存在を求めていたのかもしれない。
もはや誰一人として居ない、この雪と氷に閉ざされた国、セレス。
居るのは自分と、この愛しい存在と。


魂の抜け殻たち。


その気温の低さから、ゆっくりとしたスピードで。
しかし確実に進んでいくであろう『崩壊』と『消滅』。
ただの『モノ』と成り果てた、かつて『身体』と呼ばれたモノは。
おびただしい数を氷の大地に横たえる。


そして『それ』を作り出した人――――――――。


自分もまた、その一端を担ってはしまったが。
それも含めて、『決着』をつけなくては。
そして、『旅立たねば』ならない。
『謀られた』旅に。


「チィ、王様に伝言をお願いしていいかなあ?」
「チィはファイが作った。ファイの言う事、チィ、聞く。」
「ん、いい子。」
頭をするり、と撫でて。
決意を込めて紡ぎだす。


「王様にね、『星見の間』でお待ちしています、って伝えて。」


投げられた賽は。
如何なる『目』を示すのか。
『謀られた』旅は。
自分にどんな意味をもたらすのか。


聖夜の光は雪と氷の国を静かに彩り。
天の歌声はレクイエムと化す。


「こんな所に呼び出して・・・どうしたのだ?ファイ。」


窓の外を。
流れ星が1つ、流れて消えた。


「お待ちしておりました・・・・アシュラ王。」


天駆ける光よ。
どうか安らかなる『時』を与えたまえ。
この国に。
愛しき存在に。
――――――――我が君に。


そして代わりに我を。
地獄の業火の許に導きたまえ――――――――。


魔術師ウィザードの祈りは。
ダイアモンドダストの煌きに乗って散っていった。



                  クリスマス企画目次に戻ります



クリスマス企画第1弾。
トップを飾りますのはセレス国組です。
アンケートでチィの方がアシュラ王を4票も上回りましたが(苦笑)
その結果がこれです。(爆)
王様見事に一言だけ!!( ̄▽ ̄;

以上、セレス国捏造篇でした。(逃げるな)

           作者・シュウ   2006.12.23UP

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