ついに――――――――。
出会ってしまった。
聖人の誕生日を祝う祭りの開かれている、この国で。
冬の冷たい風は、生ぬるくすら感じさせる。
奔る、戦気。
蒼い光と琥珀色の光。
姫の羽を何本も持って。
――――――――『小僧』が立っていた。
―――――――――――――― * ―――――――――――――
「皆、退がれ。」
同じ姿をした少年が、無表情な声で告げる。
己の姿を映した『虚像』。
故に己の手で決着をつけると。
その手に魔法剣が呼び出され。
『小僧』が『緋炎』を抜刀し。
そして『2人』は同時に地を蹴った。
手出しは出来ない。
これは、彼の、いや『彼ら』自身の誇りと尊厳をかけた戦いだ。
もどかしい想いでただ見つめるしか出来ない。
――――――――いや。
俺なんかよりも。
この2人の想いはどれほどのものなのだろう。
どれほどの犠牲を強いる事になろうとも、『小僧』の心を取り戻したいと願った姫。
『小僧』を救う為に、奪われた魔力を取り戻したいと願う魔術師。
己を縛る業から解放されるには、魔力を取り戻さなければならない。
――――――――どうやって?
考えられる答えはどうしても、『1つ』。
だが『それ』に逡巡しているのは火を見るよりも明らかだ。
生きて。
皆で。
笑いあえる日は、本当に来ないのか?
―――――――――――――― * ―――――――――――――
音も無く。
声も無く。
時が止まった。
「・・・・黒鋼さん・・・・・・。」
砂漠の姫の、震える声が静寂を躊躇いがちに破る。
一触即発の対峙する琥珀色のヒトミの少年たち。
1つの蒼に支えられ、3つの琥珀が交差せんとしたその一瞬。
奔った黒き疾風。
「何・・・・・。」
混乱したような少年の呟き。
今まさに交えんとした剣を。
蒼き氷の一閃で『止めた』。
そして止まった一瞬に。
両の手でそれぞれの剣を掴んだ。
――――――――素手、で。
ポタリ。
ポタリ。
白い石の床に、紅い華が咲く。
この国に今日生まれたという聖者は、その血を流しながら断罪されたという。
『彼』もまた。
その聖者の如くに、その血を流すのか。
猛くも優しきその心もて。
「・・・小僧、思い出せ。『お前自身』を。」
静かに、静かに。
紡がれる、言葉。
のろのろと。
紅玉を。
床に咲いた紅い華を。
辿るように視線が泳ぐ。
俺にははっきりとわかった。
その1つだけの琥珀の目に。
確かに『光』があったのを。
今は身罷りし聖者よ。
どうか一筋の光明を下されよ。
この彷徨える魂に救いの道を。
皆の祈りに希望の光を。
その生誕の日を寿ぎて、恵みをこそ与えられん。
我が祈り、天に聞こし召せ。
罪深き我らに、救いを・・・・・・・・・。
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