<クリスマス企画小説>

「 魔 術 師ウィザード た ち の 聖 宴 」




「侑子さん、お待たせしました。」
声と共にするりとふすまが開いて。
少年の前に置かれたお盆には――――――。


「ブッシュ・ド・ノエル〜〜〜!!」


なんとも見事な切り株ケーキ。
ワクワクしながら切り分けてくれるのを待つ。
一口食べれば、程良く滲みこませたお酒の香り。
「ん〜〜〜、最高〜〜〜っ!四月一日!貴方本当にいいお婿になれるわよ!!」
「それはどうも!!」
何故かガーッ!!と怒って、ぴしゃん!と襖を閉めて出ていった。
「・・・・思い出すわよねぇ・・・・・。」
『彼』は、『作る人』だったから。


「私が認めるに足る魔力の持ち主なんだよ、彼女は。」


そう言って、『あの男』に私を紹介した『彼』。
片眼鏡の奥の光が、禍々しさを感じさせたのは、後に錯覚ではなかったと知れるのだけど。
そんなことはお構い無しに、『ケーキはどうだい?』などと訊ねていたりもする。


『甘いものも、いけるだろう?』
『今は遠慮しておく。』


苛立ったような返事を残して『あの男』は消えた。
「いつもの事だよ、気にしないで。」
自分ひとりで超越していた『彼』――――――――クロウ=リード。
クロウが残していった物は、とても多い。
モコナたちもそう。
沢山の想い出も。
――――――――『あの男』との決着も。


「『シャンメリー』は嫌いですか。」
抑揚のない声。
いやむしろ、小ばかにしたような気配すら漂わせる、声。
「はっきりいえば、『嫌い』だな。」
「面白みのない人ね。」
自分のグラスにはシャンメリーを注ぎ。
ブランデーのグラスをつい、と目の前に滑らせてくる。
「お前は、クリスマスなんぞに浮かれるのか。」
「楽しい事に便乗するのは嫌いではないわ。」
喉を鳴らして流し込む。
目の前の『彼』が目を細め、不快な感情を垣間見せた事を軽く受け流して。
「『彼ら』は今何処に?」
「何処にいようが我が目的の為に、彼らの旅は進められるのだ・・・・。」
飛王=リードの、その横顔を。
見つめる星火は何も口に上せず。
お互いに、その心の中は見せぬまま、ただ杯を重ねていった。


「我が願いは、必ず叶えてみせる。」


そのネガイは果たして叶う物か。
誰もが『無理だ』と言い切るその『ネガイ』。


「クロウもダメだって言ったでしょう?彼自身が証明してしまったのだから。」


切り株にちょこんと乗せられた人形に哀しい視線を投げかける。
どうか幸せにとは願うけど。
それは叶うべくもない、虚しい『ネガイ』。


小さな小さな手作りの人形は。
旅の空を駆ける4人とモコナの姿をしていた。



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クリスマス企画第6弾。
魔術師たちのクリスマス、と題してもっと楽しいのを書くはずだったんですが・・・。
やはりおちゃらけを許してくれない雰囲気がこの方々には。
それもこれも、おっさん(=飛王)が絡むせいです?!


ブッシュドノエル、一人で食べるには大きいしなぁ・・・・。
四月一日作のツバサ一行人形をビジュアルで見てみたい。(真剣)

           作者・シュウ   2006.12.24UP

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