この国では。
「この国を救った英雄の誕生日が今日なんだって!」
「それでこの騒ぎかよ。」
「でも楽しそうですね!!」
「あ!あっちでパフォーマンスやってますよ!!」
心浮き立つのは致し方のないこと。
今日は祝日。
聖なるカルナバル。
「祖国の英雄を称えて!」
「この国よ、永久に!」
「この佳き日よ、ハレルヤ!」
「無礼講だ、飲んでくれ!」
「大盤振る舞いさ、食べとくれ!」
「全ては慶びの日に!」
「カルナバルに栄光あれ!」
「冬の厳しさが緩むように!」
「春の乙女が笑うように!」
「実り豊かな時を願って!」
「祈れ!」
「歌え!」
「踊れよ、ハレルヤ!」
自然と顔が綻ぶ。
砂漠の姫は可愛らしい動物を見つけて目を細め。
琥珀の瞳の少年は美味しそうな屋台の食べ物を差し出されてドギマギとし。
黒き疾風は何杯もの杯を干し。
白き魔術師はダンスの相手を請われて踊りの輪に取り込まれ。
頭の上で白い妖精がクルクル踊る。
―――――――――――――― * ―――――――――――――
祭の喧騒は。
すなわち『明日への希望』。
この厳しい冬を生き抜く為に。
来たるべき春を享受する為に。
暑き夏を耐え忍ぶ為に。
豊かな実りの秋を迎える為に。
それは、人としての。
日々の生活、時の営み。
我ら願う。
五穀豊穣、幸運招来。
悪霊退散、夢魔放逐。
我ら祈る。
ここに幸あれ。
この国よ永遠なれ。
「俺たちなら――――――――。」
願うのは。
祈るのは。
「羽が集まりますように。」
「小狼のネガイだよね。」
「故国に帰れるように。」
「黒鋼ってそればっかり。」
「故国に帰ることなく旅が続けられるように。」
「ファイはこれからどうするの?」
「――――――――サクラは?」
祈る、祈る。
砂漠の姫よ。
そのネガイ、天に届け。
その祈り、光を呼べ。
異国のメサイアよ。
どうかこのまだ幼けなき者の声を聞きたまえ。
賛美歌の歌声に乗せて。
その願いを天に届かしめよ。
「皆が健やかに在れますように・・・・・。」
聖なる夜よ、ハレルヤ。
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