「向 日 葵ひ ま わ り

「え?・・・マジで?」
「そんなに驚く事かよ。」
「・・・いや〜〜・・・・黒たんってさぁ〜〜・・・そのまんま、って感じだったから・・・・。」
ヘライのの感想は、そのまま小僧や姫の想いと同じだったらしい。
無言でコクコクと頷いている。
「・・・・悪かったな。」
予想に逆らって。
俺は言い返すのも面倒になって、部屋を出た。


そうだ。
俺は、この花が―――――――嫌いだ。

『向日葵』が。


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基本的にいえば、確かに俺には似ているのかもしれない。
まっすぐに太陽を向いて。
すっくりと立ち、何物にも動じないと思う。
そういう意味においては、『嫌い』ではない。
下を向くのは嫌だ。
やらなければならない事があるなら、前だけを見る。
小僧にも言ったが、これは俺の座右の銘といってもいい。
それを具現化している―――――――誰もがそう思うのだろう。


『嫌い』じゃない。
だが、『嫌い』だ。


『向日葵』が。
―――――――『真夏』の花でさえなければ。




―――――――――――――― * ―――――――――――――



『向日葵』は、『真夏』の花。
『真夏』――――――。


暑い暑い日差し。
丈夫な者でも体力を削がれる気温。
体力維持のための睡眠すらままならぬ夜。
じっとしているだけでにじむ汗。
その不快感。
水浴びしても、一時いっときだけしか得られない清涼感。
それはすぐに暑さに散らされて。
不快なほどに響く蝉時雨。
気に障る音と共に来る『蚊』。


『夏』は、嫌いだ。


――――――弱った『あの人』を―――――『母上』を、もっと弱らせるから。


咳き込む背中はじっとりと汗ばみ。
ただでさえ細い『食』はさらに細くなる。
眠りはさらに浅く、宿直とのいをしていると、何度も寝返りを打つ気配がする。
蔀戸しとみどを開けても、通りきらない風。
通っても、それは生ぬるくて。
親父だって、何時も気遣っている。
魔物退治の合間を縫って、館に戻っては枕辺に見舞う。
何時も気丈に答えてはいるけれど。
でもその衰えは誰の目にも明らかだ。


『諏倭』を護る『結界』を張り続けなければならないから。


早く強くならなければ。
『結界』を休んでも、大丈夫なように。
そう思い続けていたのに、願いは断ち切られてしまった。
弱りきった身体を貫いた、蝙蝠の飾りの付いた剣。
絶対に忘れない。


俺には、はっきりと見える。
『向日葵』の陰に蠢く『蝙蝠』が。


「だから俺は、『向日葵』が嫌いなんだ。」


――――――違う。
本当に『嫌い』なのは――――――。


『弱かった』
『守りきれなかった』
過去の『自分』。


俺は――――――――――。
強く、なりたい。
もう『後悔』は、したくないから。



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わーい、マザコンだー。(棒読み)
自分で書いてて、『誰やねん、コレ』状態でした。(笑)
『向日葵』、実は黒鋼の母上はこの花が好き、という裏設定をしています。
彼が本当に『好き』になれるのは何時なんでしょうね?(^^)

あんじぇ様・・・こんなもんでいかがでしょうか??(こそこそ)

           作者・シュウ   2006.05.27UP

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