<37773HIT記念 キリ番リクエスト小説>

    「 温 か な エ ガ オ 」




その口から。
語られるのは、夢の続き。
異国のお姫様。
白い馬に乗った騎士。
素晴らしい力を持った神の使い。
炎を吐く魔物。
自分が文字を辿っても、彼らは姿を見せてはくれない。
それは、お父様の。
唇が紡ぎ出す魔法。


「そして皆は幸せに暮らしました・・・・・・。これでこのお話はおしまいです。」


夢が消えるとき。
一番悲しくなるとき。
そんな私を見て、お父様は優しく頭を撫でてくださる。
口元に微笑み浮かべて。
その笑顔は――――――――とても、温かい。


「明日もまた会えますよ。さくら姫がいい子にしていたらね。」


いい子にしていたら?
本当に?


「もちろんですよ。皆、待っていてくれるんです。」


――――――――皆?
待っていてくれる?


「えぇ。だから、今日はもうやすみましょうね。明日、『また出会う』ために。」


静かに閉じた瞼の中で。
時がこっそり流れていく。
睡魔ヒュプノスいざなう岸辺に、そっとたどり着き。
やがて規則正しい寝息が刻まれて。
父王はそっと枕辺を離れた。


―――――――――――――― * ―――――――――――――


「さくらは寝たのですか。」
「えぇ。貴方はまだやすまないのですか?」
成長著しい我が子に、その目を細める。
「まだまだしなければならない事があって。」
幼いながらもしっかりとその足は大地に立つ。
「貴方ならきっと立派に国を護ってくれるでしょう。・・・でも、無理はいけませんよ。」
その声、その心。
王として。
父として。
見守るその瞳の光は、何処までも優しい。
しかしその『優しさ』に隠れるように。
微かに垣間見える、『疲れ』と『哀しみ』。


「何が『哀しい』のですか?」
「・・・・・哀しくなんか、ないですよ。」


それを『嘘』と。
見破れるようになった事は喜ぶべきなのか。
少年の目に、父の苦悩は如何様に映るのか。


「私にも、分けてください。そうすれば、きっと楽になります。」
「・・・貴方に支えうる力が宿ったなら、その時はお願いしましょう。」


少年は知らない。
――――――――『その時』は、訪れる事はなかったのだという事を。



―――――――――――――― * ―――――――――――――


出逢うべきだった人に逢えない・・・・。
手を伸ばしても触れられない・・・・。
その目に映るのに『届かない』・・・・。


遠く隔たった人に、逢いたいと渇望しても。


――――――――逢えない。


「やらなければならない事があるから。」


そう、自分の、『全て』をかけて。



                   キリリク目次に戻ります

「37773HIT」をゲットしてくださったルル様に捧げるショートショートです。

最後の独白部分を入れたいがために、18巻の発売を待っていたという・・・・。^^;
サクラの父王は、何処まで『クロウ=リード』と同じなのでしょうか。
彼はかなり深い部分まで知っているようです。
モコナたちを作ったクロウとは、魂を同じくする別人だと思ってはいますが・・・・。
まさか同一人物って事は無いと思いたいです。
・・・そうでないと、『カードキャプターさくら』の世界に食い込むことになってしまいますからね・・・・。

原作の展開から目が離せないです。

ルル様、ありがとうございました!(あいも変わらず返品可です・・・・。)

           作者・シュウ   2007.03.19UP

copyright ©2006-2007 時の翼 all rights reserved

inserted by FC2 system