<6666HIT記念 キリ番リクエスト小説>

      「 金 剛 石ダイヤモンド の バ ラ ー ド 」




「・・・・・なんか、落ちつかねぇな。」
宿のソファに転がりながら、黒鋼はぼやいた。
ほぼ貸し切り状態のこの宿で、食後のくつろぎに、皆は居間に集まっている。
「黒たん、何が落ち着かないのー?」
ファイが問えば。
「『音』だ。」
「『音』?」
「始終じゃかじゃか鳴ってる。落ちつかねぇ。」
ぷぷっとファイは噴出した。
「しょうがないよ〜〜此処は『音楽』がとっても盛んな国なんだよ〜?」
「気にいらねぇ。」
日本国は、こんなに音に満ちた世界ではなかったのだろう。むしろ静寂をもって常としているような。
「気に入らぬのなら、部屋に引き取ればよいのではないのか?」
「うるせぇ。」
この宿の部屋は、各自が音楽を楽しむためか、防音がしっかりしている。
だからといって。
ストレートに爆弾は落とされて。もっとも、噛み付いた所でどうなるものでもないが。
ふん、とそっぽを向いた先で、壁の楽器に手を伸ばす小狼が目に入った。
「・・これ・・・・・『ギター』だ・・・・。」
「小狼君、知ってるの?」
「はい、以前父さんと旅をした時に見た事があります。」
壁から下ろした『ギター』は、弦が張られたひょうたんのような形の楽器だった。
「小狼君、弾けるの?」
「・・・少しなら・・・・・。」
「聞きたい!!」
サクラは目を輝かせた。
以前修羅ノ国では自分が楽器を奏したが、今度は自分が聞く番だ。
「・・・え・・・でも・・・・。」
「オレも聞きたーい!・・・ねぇ、黒ぽんも聞きたいでしょ?」
「知るか。」
『否定しない』のは、『肯定』。 小狼は座ってギターを構えた。
(確か父さんはこうやって・・・・・。)
藤隆は、レパートリーこそ少ないものの、ギターの音色はとても優しかった。
小狼によく爪弾いてくれた―――――――。
(父さん。)
今はもう届かない、優しい笑顔。
懐かしさに心を満たしながら、小狼はゆっくりと弦を弾いた。


何回迷ったっていいさ 血の跡を辿り 戻ればいいさ
目標なんか無くていいさ 気付けば後からついてくる
可能性という名の道がいくつも伸びてるせいで
散々迷いながら 何処へでも行けるんだ


少しゆっくり目の曲に乗せて、小狼が歌う。
(小狼君が歌う所、初めて聞いた。)
ファイの感想はもっともだ。サクラも目を丸くしている。


何回転んだっていいさ 何回迷ったっていいさ
大事なモンは 幾つも無いさ


小狼の低い小さな歌声が、暖炉のはぜる音に馴染んで散っていく。


************************************************


(懐かしい曲だった。)
部屋に戻って。
この部屋にも掛けられていたギターを手に取る。
(コードは如何だったっけか・・・・。)
うろ覚えだが。
それでもいくつかのコードを弾けば、耳が記憶を揺り起こしてくれた。


前ばかり見てるから なかなか気付かないんだ
置いていかないでくれって 泣いて縋るようなSOS



黒鋼が聞いたら、きっと力いっぱい否定するだろうな、などと思ったりもする。
『やらなきゃならねえ事があんなら、前だけを見る』と言い切る彼なら。


ひとつずつ ひとつずつ
何かを落っことして此処まで来た
ひとつずつ 拾うタメ 道を引き返すのは 間違いじゃない



(もう引き返せない。)
いや、実際は。
(引き返している。)
自分が『落としたモノ』を拾うために。


あとにも先にもひとつだけ ひとつだけ
その腕でぎゅっと抱えて離すな
世の中にひとつだけ かけがえのない 生きてる自分
弱い部分 強い部分 その実 両方が かけがえの無い自分



生きているならば。
かけがえの無い自分自身を、もっと大事にしようと思えるのかもしれないが。
しかし、もう、自分は。


誰よりも何よりも それをまずギュッと強く 抱き締めてくれ――――――――。


自分で自分を抱き締めて。
しかしその手は自分をもすり抜ける。
時の幻、置き去りにした心。


ギターの音色がこんなにもやるせないとは、さすがのリアンにとっても初めて知ったことだった。



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「6666HIT」をゲットしてくださった、熊様に捧げるショートショートです。

かな〜〜〜りお待たせしたキリリクです。
しかもキリリクにしては珍しく書き直したりもして(いつもは一発勝負です)。
引用の歌は、ご指定のありましたBUMP OF CHICKENの『ダイヤモンド』です。
今回の為に初めて聞きました。^^;
ジャンル狭いもんで・・・・。
本当はテンポ、結構速いんですが、小狼のレベルに合わせて少しゆっくり目にしています。


自分の足で歩く歌。
まさにその通りだと思います。
後ろを振り向いて落し物を拾うのもまた必要。
黒様に聞かせてやりたい曲ですな(爆)
ファイにも聞かせたい。「後ろ向くばっかりじゃなくて、ちゃんと拾ってこい!!」って言って。
小狼にピッタリの曲だと思います・・・。このリク貰ったのは小狼が心を失くす前・・・・(泣)

小狼、カムバ―――――ック!!(切望)

熊様、ありがとうございました!勉強になりました〜〜!

           作者・シュウ   2006.07.22UP

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