<74347HIT記念 キリ番リクエスト小説>

 「 L o s t   c h i l d r e n 」




いつもなら。
「ただでさえ長いのはよく解かっていたけど・・・・。」
でも。
「こうやって見ると、本当に『長い』んですね・・・・『蒼氷』は・・・・・。」
まさか身長をも超えていようとは。


「遣えねぇな・・・・・・。」


誰よりも落胆した気配を滲ませて。
黒き疾風かぜは、大きな大きなため息をついた。


そう。


それは、『見た目』には、全くそぐわないほどの。


―――――――――――――― * ―――――――――――――


今まで、自分たちが『別のもの』に変化する、という経験をしてこなかったわけではない。
だが、今回は実際問題としてかなり困ったことになってしまった。


全員が、『子供』になってしまった。


それも、かなり年齢が低い。
サクラと小狼は、10歳にもなってはいないだろう。
7〜8歳ぐらいだろうか。
黒鋼も同じような感じだ。
ファイはそれよりは若干上のようだが、それでも11、2歳ぐらいが限度といった所。
「皆、とっても可愛いのー♪」
モコナは喜んで飛び回るが、皆としてはあまり嬉しくはない。


まず、自分たちで自分の身が護りきれない。
戦闘能力が大きく後退している。
いや、後退している、というよりは、『遣えなくなっている』と言った方が正しいだろう。


足での蹴りが届くつもり。
剣を振るうことが出来るつもり。


だが実際は。
届かない。
振るえない。


ファイ自身は、『この見かけの年齢相当なら、魔法そのものも遣えない』といった。
「どうせ遣わねぇだろう。」
「まあそうなんだけどー。」
『遣わない』のと、『遣えない』のとでは、天と地ほどの差がある。


「――――――――――困った、ね。」


ファイの呟きは、いわば、決定打。
思わずサクラの目に涙が浮かぶ。


どうすればいい?
何をすればいい?
――――――――――誰か。
誰か教えて――――――――――。


誰も。
教えてなんかくれない。
この国の人は、皆――――――――――『子供』。


迫りくる、100億光年の、孤独。
何者からも見捨てられた、『lost children』。


でも。


「『明けない夜』は無ぇ。」


ぼそりと、紡がれた言葉。
幼い少年の言葉にしては、あまりにも『不似合い』ではあるけれど。
それでも。
『彼』が言うと、何故かしっくりくるのは。


「やるべき事は、いつも『1つ』です。」
小狼の言葉に、皆も頷く。


それが、『子供』であったからこそ為しえた事なのかもしれないが。


皆は、『声を揃え』て、同じ言葉を口にした。


「自分に出来ることを。」
「自分にしか出来ないことを。」
「自分がやらなければならないことを。」


「信じれば、必ずネガイは叶う。」


「絶対、大丈夫!!!」


―――――――――――――― * ―――――――――――――


助けて。


それは、ネガイ。


この国に、ひときわ大きく聳え立つ、『世界樹』。


その大樹は今、『敵』の侵攻にさらされていた。


伸びた根は切られ、建物が建つ。
どこかで水を汲み上げるせいで、深く伸ばした根も届かぬほど、地下水脈が下がっていく。
何処からか侵入した虫や小動物が内部を食い荒らす。
大気の汚れが葉を別の色に変色させていく。


長い、長い、時間。
この国を『護って』きた、世界樹。
声無き悲鳴を、『羽』は聞いた。


『アナタノネガイヲカナエマショウ。』


科学や文明の進化がいけないとは言えない。
ただ、人々は、『世界樹』のことを忘れてしまった。
子供の頃は、あれほどまでに、『寄りかかって』いたのに。


その幹に登り。
その枝にぶら下がり。
その葉陰で憩い。
その実を食べて渇きを癒した。


それなのに。


助けて。
忘れないで。
思い出して。
――――――――――ワタシのことを。


『デハ、コノ国ノ者ヲミナ、子供ニ戻ソウ。』


思い出すために。
この優しい樹の事を。


『羽』は、光り輝いた。


―――――――――――――― * ―――――――――――――


「少しは、よくなるかな。」
「どうかな。『喉元過ぎれば熱さ忘れる』とも言うしな。」
「もうちょっと前向きな思考できないのー?」
「俺は客観的に見ただけだ。」


そう。


この国の人たちは、『何処まで』理解できただろうか?


何をしているの?
この樹に水をあげてるの。
水を?
ええ、この樹の根はもう、水脈に届かないの。
どうして?
地下水を汲み上げすぎて、水脈が変わってしまったの。
根っこも切られちゃってるんだよね〜〜。
建物を建てるために、『命の糸』を切っているんです。
人間って、『傲慢な』生き物だよな。


小さな声。


だが、大きな声。


旅人の行動に、人々は大樹を見上げた。
そして。
かすかに思い出す。
昔のこと。
子供の頃のこと。
自分がどんな風にこの樹と関わってきたか。


その『世界樹』が――――――――――。


泣いている。


「これを、姫に返してもらってもいいですか?」
小狼の問いかけに、世界樹はさやさやと葉ずれの音をいらえとした。
今は元の姿に――――――――――年相応の姿に戻った、皆は。
羽が戻り、眠りにつく前に。
サクラは、世界樹の『夢』を見た。


青々とした葉が茂り。
根元で老人がもたれて眠り。
木陰で家族連れがシートを広げて食事を楽しみ。
子供たちが枝を伝ってよじ登る。


ネガイツヅケタラ、イツノヒカ、ソレハカナウダロウカ?


(きっと、ネガイは叶います。・・・・願い続けたなら。)


サクラの寝顔が『優しい』と、小狼は確かに思った。



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「74347HIT」をゲットしてくださった、魔法の木様に捧げるショートショートです。

リク内容は、『全員子供になる』。
小狼とサクラはお誕生会の頃、黒鋼は母君に木に引っかかった領巾を取ってあげた頃。
ファイはアシュラ王に救出された直後くらい、という指定でした。
これまた以前の記憶がある状態。
しかし、前回(67876hitキリリク『母の想い』)と違うのは、その背景。
今回は原作パラレルベースです。(67876hitは『時の翼』ベース)
実は今回のキーワードは『木』。
母君の領巾がひっかかった『木』。
国を護ってきた『木』。
そしてリク主様のHNの『木』。(笑)
ところで『世界樹』と聞いて、『北欧神話』とか『ナウシカ』とか『ラピュタ』を連想される方は多いと思うのですが。
・・・・・『サイボーグ009』を連想したワタシは一体何歳ですか、と自己ツッコミ。^^;


タイトルは『迷子』の英訳です。


魔法の木様、ありがとうございました!(・・・でも返品受付中です・・・・。)

           作者・シュウ   2007.08.02UP

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