1杯目は貴方の為に。
2杯目は私の為に。
3杯目はポットの為に。
さらさらさらさらお茶の葉を。
ポットに入れて、ティーコゼ被せて。
「お茶の葉が静かに沈むのを待ってね。お客様には少し前にお出しするけれど。」
「どうしてですか?」
「お客様の前でお入れする時がちょうどのタイミングになるように。」
「・・・はい!わかりました!」
復習するかのように、サクラがポットに茶葉を入れ始める。
「サクラ、本当に上手になったの〜〜!」
「本当だよね〜〜サクラちゃん、頑張ってるよ〜〜!」
「そ・・・そんな事ないです!ファイさんやモコちゃんの教え方が上手だから・・・・!」
「でも『やらない』人は絶対に上手く『出来ない』の〜〜!」
「本当にそうだよね〜〜。」
サクラは顔を真っ赤にして俯いた。
サクラが居るだけでこの店はパアッッと桜色に染まる。
その柔らかな物腰、一生懸命な姿。
それはファイの持つ柔らかさとは異なるもの。
(それは『本当の柔らかさ』。)
ファイが持ち得ない、その本質。
もちろんモコナにも持ち得ない。
それは、サクラだけのもの。
優しい色、優しい風。
「ファイー、メニューにはどう書くのー?」
「うーん、書くのは黒様に任せるとして〜、メニューそのものを決めなきゃねー。」
ファイの頭の中でメニューが色々浮かび上がる。
「飲み物は・・・・・。」
「お菓子は・・・・・。」
「セットメニューは・・・・。」
「ちょっとした軽食ってのも・・・・。」
サクラとモコナも、一緒になってうんうん考えて。
「よし、これで決まり!!」
「・・・てことで、黒たん、メニュー書いてぇ〜〜。」
「何で俺が。」
「えー此処の字が書けるのは黒様だけみたいだしー。」
そう言って満面の笑顔で筆と用紙を押し付ける。
ちらりと見れば、祈るように見上げる翠玉の瞳。
ため息1つ、小さくついて。
「・・・・何て書くんだ。」
「えっとねー・・・・。」
言われた物を、モコナが注釈を加えて。
カタカナでようやっと書き上げた。
「しかしまあ、よく此処までカタカナの訳解らんものばっかり・・・・。」
確かに黒鋼にとっては見たことも聞いた事もないものばかりだっただろうから。
「サクラちゃ〜〜ん、出来た〜〜〜?」
「はーい!!」
これまた満面の笑顔で。
サクラが持ってきたのは、サクラの花の形をした色紙。
「?」
「これは、今日のお薦めメニューの所に貼るんだよ〜〜。」
明日はマフィンからスタート、とか言いながら。
モコナが指し示す所にペタリペタリと貼っていく。
微笑む2人の顔は、本当に嬉しそうで。
見ていた黒鋼も小狼も、思わず口元をほころばせた。
「『喫茶・猫の目』、明朝開店です!!」
桜の花が、風に乗って舞った。
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