「Un deseo serio y envidia  〜 キ オ ク の 本 〜  」




小狼君が、倒れた。

「ごめんなさい・・・・黒鋼さん・・・・。」
掠れるような声。
頬を流れる涙。
そして――――――――――黒りんが持っていた、本。
(・・・あれは。)
魔力を感じる。それも、サクラちゃんの。
(間違いない。)
あの本は、サクラちゃんの――――――――――。



―――――――――――――― * ―――――――――――――


小狼君のことは黒様に任せればいい。
オレ達は可能な限りの情報を集めた。

あの本は、『記憶の本』。
正確には、コピー。
――――――――――写された、もの。
ちら、とサクラちゃんを見る。
サクラちゃんはまだ気付いてはいない。
自分の、正体。
自分の、存在理由。
おそらく予見さきみの力が無い以上、絶対にわからない事。

いつか、きっと。

サクラちゃんも、自分の存在理由に気づく時が来る。
その時に、どうなるのか。
さすがのオレにも解らない。
――――――――――いや、解る。
未来は、見えている。
哀しい未来が。
ならば、せめてこのひと時、安らいでくれたなら、と。
オレに叶えられるネガイならば叶えてあげたい、と。
おこがましいネガイだろうか?
オレが願うなど、その資格すらないだろうか?
存在自体が、不幸を呼ぶ。
今オレ達は、2人で1人。
そして、1人で2人。
そんなオレに、一体何が出来るのか。
いつの日か。
オレは皆と刃を交えるのだろうか・・・・・?

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『記憶の本』の原本は、一番大きな図書館にある。
一歩足を踏み入れた途端、強大な魔力を感じた。
(これは・・・・防衛システム?)
巨大な番犬像をはじめ、厳重なセキュリティシステムが装備されているようだ。
(ちょっと厄介かな。)
それ以上に皆がぎこちなさすぎる。
黒たんの頬っぺたを引っ張ってみたりして、気分を解そうとしてみた。
「ホラホラ〜〜〜怪しい〜〜〜。」
「てめぇ・・・・・。」
眉間の皺は4割増し、こめかみには怒りマーク。
うん、これなら。
小狼君もサクラちゃんも、そしてモコナもきっと――――――――――。
「そうそう上手くいくかよ。」
ぼそ、と声が流れてきた。
「え?」
「緊張を解そうったって、限度があるってこった。」

何で。
解るの。

「・・・解らねぇとでも思ったのか。」
「・・・どういう事かなー?」
オレは、上手く笑えているだろうか?

「解ってねぇな。一番緊張して、動揺しているのはてめぇなんだよ。」




頭を――――――――――ガン、と殴られたような気がした。
黒りんは、ちらり、と一瞥をくれて、さっさと行ってしまう。

余計なとこばかり、なんで見てるの。
一体何を知っているの。

(何にも知らないくせに。)

『魔女』の手先のくせに。
オレの邪魔をすると解っている人なのに、何故。

何で君はそこにいるの。
オレの1歩も2歩も前の、その場所に。
オレは君なんかよりもずっと長く生きてきた。
君なんかオレの足許にも及ばないんだ。
『格』が違うんだよ。
オレに偉そうに言っていられるのも、今のうちだけさ。

「・・・・どうして・・・・・。」

何だろう。
心が、寒い。
何かが凍り付いていく。
オレは。
――――――――――何か、間違った?

本棚に沿って曲がると、黒い背中が目に入った。
心臓が、跳ねた。
何故?
(もしかして・・・・これが・・・・・。)

「てめぇも、変わったんだろ。」

ピッフルワールドで言われた、言葉。
あれは、この意味だったんだろうか。

何もかもといっていいほど『知っている』オレ。
何もかもといっていいほど『知らない』黒りん。

でも本当は。
オレなんかよりもずっと高い高い空の高みから。
黒りんはその赤い目で、皆見下ろしていたんだろうか。
そして全てを知りながら、流れているんだろうか。
風のように。
雲のように。
でも意思をもって、こうと決めた道筋を進んでいるんだろうか。

誇り高き鷹のように。

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「ささっ、その怒りを本棚に!!」
「てめぇっ!!」

黒りんの力で本棚がその位置をずらす。
魔法が効力を失い、入り口が現れた。
『記憶の本』へ繋がる道が。
ためらう事無く入っていく、その背中を見てはっとした。

そうか。
そうなのか。

彼の、存在意義。
何故彼が選ばれたのか。

(やっと解った。)

黒りんは、『道を拓く者』。
サクラちゃんに繋がる、『行方を指し示すチカラ』。
露払いの任を負うて、黒き疾風かぜは進む。
行方を示して、ツバサは羽ばたく。
その後ろを進むのは――――――――――。

「オレの『道』も・・・・・そろそろ決着つけないといけないのかな・・・・。」

叶わない、ネガイ。
叶う事の無い、ネガイ。
数多の血を流して、その上に立つ、ネガイ。

そのごうの深さ。
償えるか、オレに。
負いきれるか、オレに。
「やるしか・・・・ないよね・・・・・・。」
たとえそれが血塗られた道でも、自分が決めた事ならば。

「行こう。」

洞窟の中、ガーディアンたちの待つそこへ、オレは一歩を踏み出した。



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またしてもチャットでネタをいただきました。

sarasara様宅で絵茶が・・・というので覗きに行ってそのままはまる、と。(笑)
宿題まで出ちゃうし。(爆)
いやしかし何ですな!目の前で絵が仕上がっていくのを見るというのは至福以外の何物でもなく!!
もう一生分の幸運を使い果たしているんじゃないかと思うんですが。
いやもう幸せすぎて、頭が春です〜〜〜♪(いつもだ、というツッコミは無しの方向で・・・・。)

タイトルの横文字部分(笑)の訳は『渇望と羨望』。
思いっきりファイさんを暗〜〜〜くしてみました。いや〜〜〜こういう方って好き。
いぢめたくなります♪(ドS?σ(^^;)


風海聡様、sarasara様、ありがとうございました!

           作者・シュウ   2008.03.24UP


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