「貴方が願ったものになるわ。」
次元の魔女の言葉に、四月一日は静かに眼を閉じた。
俺の、願い。
俺の、ネガイ。
俺は、何を望んでいる?
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それは次元の彼方を旅する、砂漠の姫がもたらしたもの。
「対価よ。」
簡単な言葉。
しかし、重い、その意味。
これを手に入れるのに、どれほどの苦難を乗り越えたのだろう。
「そうね、怪我をしていたわ。」
「怪我を?!」
「大丈夫、貴方ほどじゃないから。」
ほっとした。
俺より酷くないのなら、命に関わるほどじゃあないだろう。
俺は侑子さんのおかげで助かったけれど、この力の入らなさから、結構酷い怪我だと認識できる。
俺は訂正しなければならない。
(『小狼君と愉快な仲間たち』だなんて。)
今の彼らは、『愉快』ではないという。
とてもとても辛い旅路なのだと。
そしてこれからもっともっと辛くなるのだと。
手渡された『卵』は、俺と百目鬼のヤロウとで汲んできた水の対価だ。
俺にはわからないが、あの水には強い力があるという。
原始の、本来の、力。
あの水は、きっと次元の彼方の人々の役に立ってくれるだろう。
俺は、そう信じたい。
そうでなければ、あのお姫様が怪我をしてまで必死で手に入れた意味がなくなってしまうから。
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『あちら』は大丈夫だろう。
では、『こちら』は?
(俺は一体『誰』なんだ。)
アヤカシが見えて、アヤカシに好かれて。
でも俺が存在する意味が、きっとあると思う。
もし無かったとしても、きっと俺は誰かのために存在しているんだろう。
(侑子さんのおさんどんのため?)
いや、それは違うだろうけど。
では、誰の?
「四月一日君、気がつかなかったの?」
「私と一緒に居ると災いが来るんだよ。」
(ひまわりちゃん。)
あんなに可愛くて、あんなに素敵で。
居てくれるだけで天にも舞い上がる心地になれるというのに、ひまわりちゃんは自分自身を貶めている。
それは違うよ、ひまわりちゃん。
ひまわりちゃんが居てくれるから、俺は幸せになれるんだ。
ひまわりちゃんの居ない世界なんて、味気なさ過ぎて耐えられないよ。
ひまわりちゃんは、俺の太陽。
ひまわりちゃんは、俺の希望。
ひまわりちゃんは――――――――――。
「・・・・笑っていてほしい・・・・・・。」
あの屈託のない、素敵なエガオで。
俺の人生に花を撒いてくれる、あのエガオで。
笑って。
笑って。
俺の傍で、笑っていて。
「そうだ。」
ひまわりちゃんがいつも笑ってくれますように。
ひまわりちゃんが、本当に幸せになれますように。
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願い続ければ、きっと叶うわ。
絶対、大丈夫。
受け止めて、彼の心を。
叶えてあげて、彼の夢を。
幸せの色を、あなたに。
幸せの力を、あなたに。
ゆっくりと光が差し込む。
シールドがひび割れて外の世界が垣間見えた。
卵の殻に覆われて、ずっと待っていた、『チカラ』。
「・・・・ピ?」
ネガイの象徴は外の世界へと一歩を踏み出した。
そして、見た。
初めて、その目で。
安らいで眠る、『ありえない』、しかし『確かなものとなった』存在を。
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