自分に『未来』なんて有ると思っていなかった。
『あの人』を水底に封印すると決めた、その瞬間から。
『逃げる』という事は、『生きる事に背を向ける』という事。
何時も『死』と背中合わせで存在する事を享受する、と。
表面だけは取り繕っていたら良い。
あの『次元の魔女』ですら謀ってみせる。
でも。
何なの?この『人たち』は?
どうしてこんなに『前』を向いていられるの?
特に、この子。
小狼君――――――。
俺より年下なのに。
まだ『子供』なのに。
後ろを振り向かない。
俯いたりしない。
前を見据えて、まっすぐに突き進む。
やると決めた事をやる。
何処から来るの?そのバイタリティ。
黒鋼、君もそう。
『日本国に帰る』
これが口癖。
もっとも最近はあまり言わなくなってるよね。気付いてる?
他にやらなきゃいけない事があるみたいに。
あの紅い瞳で、何もかも見透かして。
でも。
俺に付き合ってくれてるよね。
色々な名前で呼ぶ事で、自分を隠している、俺自身に。
『お前も変わったんだろ――――。』
マジで驚いた。
あんな事言われるまで気が付かなかった。
俺が変わった?
・・・・・どこが?
わかってる。
自分でも、『変わった』のが、解る。
此処がね、何だか暖かいんだ。
あの国では感じた事も無かったのに。
ねえ・・・・・。
俺、もっと『変われる』かな?
もっと暖かくなれるかな?
いつか来るであろう『お別れ』の時まででもいいから・・・・・。
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