オレはなぜ、ここに居る?
オレには生きる価値がある?
オレの罪は消えはしない。
そしてこれからも、消えることはない。
その上に石の塔を積むがごとくに、危うい罪が重ねられていく。
『いつかは崩れるね。』
解っている。
心のどこかでそれを期待している自分が居る。
それは自分を解放するため?
贖罪のつもり?
『そんなの、無理だよ。』
消えはしない、オレの業。
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穏やかな時間が流れていく。
「不思議だね。」
空を見上げて月に問うでもなしに語りかける。
この国の月は、清冽で。
そしてどこか、柔らかい光を投げかけている。
今まで見たどの月よりも、それはオレの中にするりと入ってくる。
責めはしない。
阿ることもない。
ただただ穏やかに、静かに包み込む。
「その方が、『痛く』はありませんか?」
改めて問われるまでもない。
声高に責められ、怒りをぶつけられ、石を投げられる方がどれほどにか気が楽だろう。
無言の腕は、時に残酷なまでの痛みを与える針のむしろとなる。
それでも。
一切を洗い流すわけもない。
それでも。
魂までも闇の中に砕きとる事もない。
どう思うかは、どう感じるかは。
その時の心の持ちようによって決まる。
「オレは今、『前』を向こうと思っています。」
「良い事ですわ。誰よりも黒鋼が喜びましょう。」
別に黒鋼を喜ばせるためではないけれど。
結果的に『誰かが喜ぶ』事は、いいことかもしれない。
それほどにまで、気にかけていてくれたんだろう。
気づかなかったはずもないのに、気づかない振りをしていた、オレ。
「信じ続ければ、いつかきっと願いは叶う。・・・そうですよね?」
「えぇ。いつか、きっと。『願う』力は、とても大きなものですから。」
前を向く事。
チャンスの精の、前髪を掴む事。
オレは、今、手を伸ばす事を決めた。
――――――――――『未来』を掴む事を。
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