あの日、枝に引っかかった領巾を取った。
「母上の大事なものだ!」
にっこり笑って、受け取ってくれた母上。
「当たり前だ。俺が贈ったんだからな。」
優しく母上の肩に掛けた父上。
あの穏やかな日々は、何処に行ったのだろう。
永遠に続くと思っていたのに。
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火を吐く魔物。
家を壊し、人々を蹂躙していく。
俺にできる事は母上を守ること。
なのに――――――――――なのに。
俺の目の前で、母上は刺された。
深々と突き立てられた大剣。
するすると消えていった謎の手。
床に広がる血だまりに、命の炎が映る。
消えないでくれ。
流れないでくれ。
このまま時間が止まってくれ。
塀を壊して侵入した魔物が咥えていたのは・・・・・・。
銀竜。
魔物が誇示するために持ってきたとは思えない。
だとしたらあれは親父の最後の一念だったのか。
俺のところに、銀竜を。
俺の手元に、諏倭の家宝を。
母上を守ってくれ、と。
俺は。
その想いを受け取らなければならない。
これは、夢。
これは、現実。
どちらにしても、悪い夢は、今すぐ消さなければ。
永遠に。
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永遠に続いてほしいものほど、儚く消える。
永遠に続いてほしくないものほど、いつまでも眼前に在る。
時間は容赦なく流れていく。
俺は。
『時』を掴み損ねた。
未来永劫続くものを失った。
いや。
永遠に続くものなんてありはしない。
人は流れ流れて、変わっていく。
俺もまた。
きっと変わっていく。
変わった先に、きっと。
『変わらない』何かが、きっとある。
俺は、それだけは、信じたい。
『永遠に変わらない』ネガイとして。
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