日本国、白鷺城の天守閣の屋根の上。
俺が戦う場所はたいていここだ。
ふと、月明かりに照らされた瓦に目が止まった。
「・・・・ふん。」
それは明らかに血の跡だった。
よくよく見れば、結構あちこちの瓦に同様のものが見受けられる。
刺客の死体は下っ端の忍が片付けるが、血の跡までは手が届かないのだろう。
その跡の数の分、いやそれ以上の命がここで消えていった。
「だからどうした。来る方が悪いんだ。わざわざ死にに来るなんてな。」
率直な感想だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
来なければ、命を落とす事もないのだから。
だが主命であれば、来ないわけにもいかないのだろう。
だったら。
「もうちっとは鍛えてから来いってんだ。」
弱い奴に用はない。
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月は大きな力を持っている。
それは誰が語った言葉だっただろう?
俺が知っている月は、満月が少ない。
満月は明るすぎて、どうにもいけないからだ。
昼のように明るくては、刺客も悪目立ちすぎる。
だから、俺は満月が『嫌い』なのだと。
そう思っていた。
「違う・・・・・。」
それに気づいたのは、一体いつの事だっただろうか。
そしてそれが俺の記憶に、魂に打ち込まれた楔だと気づいたのはいつだっただろうか。
あの日が――――――――――満月だったから。
諏倭の最後の日が。
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