<時を想う7つのお題−喪失編−  〜黒鋼篇〜>

  「 辿った記憶、その果てに 」



氷の破片が見せるユメ。
まだ幼い頃から、現在に到るまで。
正確にはこの国を去るまでの。
失った、片翼。
おそらくこいつも、永遠に共に在りたいと願った事だろう。
そのネガイを打ち砕くのは、死の扉。
俺も同じだ。
俺の大切に思う人が、永遠に手の届かないところに行ってしまった。
その喪失感。
その無力感。
こいつも同じものを味わったのだろうか。

こいつの主とやらが『見せてくれた』過去。
だから?
それがどうした?
もちろん過酷な運命であった事は俺も認めよう。
だが、このあからさまな矛盾は、いったいどうしたわけだ?
そしてそれに気がつかないとは、どういうわけだ?

(刷り込み・・・・か?)

生まれたばかりの雛が最初に見たものを親と思い込むように。
意図的に記憶が操作されている。
なぜ?
何か目的があるとしか思えない。
こいつを利用しようとする思惑が働いている。
それが何であるかは解らないが、しかし。
邪悪さすら感じるのは一体なぜだ?
同じ庇護者の立場である知世姫からは、こんな感は受けなかった。
知世姫とアシュラ王。
何が違うというのだろうか?

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己のさがに追い詰められた王。
同情するに値するかもしれない。
だがそのために、国の民を全て手にかけて。
そして俺たちにも刃を向ける。
それが許される事だろうか?
人を巻き込んでいいなんて、何処の誰にも許される事ではない。
自分に決着つけるなら、自分でやりゃあいいんだ。

「君の呪いを解いてあげたかった・・・・・。」

ネガイは悪くないが、手段は悪い。
第三者的にはそうとしか判断できはしない。
せめてそのネガイの果て、祈りにも満ちて望んだであろう事。
俺のネガイとも一致する。
それを叶えるために努力する事は、さすがに悪い事ではないだろう。
腕一本、その代償だと思えば、安いものかもしれない。

俺はな。
もう誰も目の前で死んで欲しくねぇんだよ。



アシュラ王、立場無し(苦笑)。
いまだにアシュラ王の思惑には納得できかねる部分が多々ありますが。
それでも『仲間を失いたくない』という事で前向きに変換した黒様がすごいかな、と。
こうと決めた事のために一生懸命に突き進む。
手段はどうあれ、その姿勢は見習うべきだと思います。


           作者・シュウ   2009.07.09UP

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