『想い出』として片付けるには、あまりにも深く刻み込まれていた。
『想い出』として記憶の彼方に押しやるには、己に影響を与えすぎていた。
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せせらぎに跳ねる銀鱗。
そこかしこから聞こえる、子供たちのさんざめく声。
平和な時間。
よしんばそれが表面的なものであったとしても、刹那を生きる子供には関係のないことだ。
明日がどうなるかわからない。
一瞬後がどうなるかもわからない。
そんな事はどうでもいい。
今のこの一瞬が楽しく、実りあり、充実していれば、それでよかった。
夢で未来を見ることが出来ない者にとって、今のこの一瞬こそが全て。
笑って。
怒って。
悲しんで。
そしてまた笑った。
穏やかで、穏やかで。
それを奪い取ったのは誰だ。
諏倭の地を炎で焼き払ったのは誰だ。
あいつか。
母上を刺した、あの男か。
ふつふつと湧き上がり、やがてとぐろを巻くように魂の奥底に溜まる心。
それは自分の道を歪めるに足る力を持っていた。
だが、ふとした弾みに、一瞬影が走る。
うろこが弾いた光なのか。
風が運んだ花の香りなのか。
それとも。
忘れえぬ、父の、母の声なのか。
まだ早い。
想い出にしてしまうには、まだ早い。
俺に区切りがついていない今は、まだ。
俺には為さねばならないことがある。
俺には立ち向かわなければならない問題がある。
それが全て終わったら。
『キオク』は美しい形で昇華し、『想い出』になるだろう。
俺はまだ。
道半ばで彷徨う迷い子だ。
まだ――――――――――遠い。
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