あぁ、もう!何で!!
何時も、何時も、思うの。
何で皆こうなの?!
どうしてそこで『引いちゃう』の?
簡単なのに。
前に一歩、踏み出せば、それで。
サクラはね。
いつも声を飲み込むの。
小狼をね、じーーっと見つめながら。
言いたいことは山のようにあるの。
心の中は、それで一杯なの。
でも、言えないの。
『声』を、引っ込めてしまうの。
一歩、踏み出せば。
小狼の耳に届くのに。
小狼はね。
言葉そのものを飲み込むの。
口に出さないで、心の中で。
ギュッとして、押し込めて。
隠してしまうの、心の奥底に。
でもそんなんじゃあ、何時までたっても同じなの。
サクラには、何も通じないの。
解ってなんかもらえない。
握り締めた拳の震えている事なんて、気付いてもらえないの。
一歩、踏み出せば。
サクラはその手に捉えられるのに。
黒鋼はね。
声も言葉も出さないの。
大事な大事な、キオクだから。
大切に、大切に。
護って、護って。
その周りを炎で囲んでるの。
見つけたら。
一瞬で全てを焼き尽くすために。
でもそれは、黒鋼自身も焼いてしまうの。
一歩、踏み出せば。
その炎は、とても優しい炎に変わるのに。
ファイはね。
大きな壁を作ってるの。
その壁はね、マジックミラーなの。
ファイのほうからは、よく見えるの。
でも、モコナたちからは、何も見えない。
穏やかで、優しくて、ほんわりしていて。
でもその裏側は氷のトゲで一杯なの。
モコナには解るの。
ファイは壁に自分を映すたびに、そのトゲで自分を傷つけてるって。
何時までも、何処までも。
一歩踏み出せば。
氷は皆溶けて、ガラスはきれいな透明になるのに。
一歩、踏み出せば。
そこにあるのは『未来』。
一歩踏み出せば。
そこにあるのは、『仲間たちとの絆』。
一歩、踏み出せば――――――――。
『明日』が、そこにあるのに。
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