「・・・・また寝ちゃった・・・・。」
中々こればかりは、自分でもコントロールできないのだけれど。
羽が集まるにつれて、日中でも見境無く眠ってしまう事は格段に減った。
それでも、この眠気は突然襲ってきて、しかも逃れられないから、どうにも性質が悪い。
窓の外は、暗闇。
(まだ夜・・・・。)
こんな時間に目覚めてしまうと、二度寝も難しかったりする。
だんだんと眼が冴えてくる。
そして頭の中も。
今日は誰が運んでくれたのだろうか。選択肢としては小狼か黒鋼だ。
普通なら小狼だろうが、後でモコナに聞くと、結構黒鋼も運んでくれているらしい。
「この前は『お姫様抱っこ』だったの―――――♪」
ノー天気にモコナに言われて顔から火が出るような思いをした。
同じ『旅の仲間』ではあるが、小狼に対する感情と、黒鋼に対する感情には違いがある。
もちろん、『遠慮』という物にも差がある。
同じ運ばれるにしても、小狼に運ばれるのにはあまり抵抗は無い。
でも黒鋼に運ばれるのは、何だかとても恥ずかしかった。
自分が、とても子ども扱いされているようで。
ファイではないが、『お父さん』みたいな、『保護者』的イメージが黒鋼にはある。
何時だったか、運んでくれた事に礼を言うと、『気にするな。』とだけ言ってくれた。
当たり前のことを、という顔で。
何時も傍らには小狼がいてくれる。ファイは前になり後になりしながら、こまめにフォローしてくれる。
黒鋼は?
いつもは『後ろ』にいる。
小狼が居なければ、『前』に居る。
とても、自然体で。
何時も思う。
『護られている』、と。
(私って、『幸せ』なのかな・・・・?)
記憶の羽が散った事は、『不幸』だったかもしれない。
だが、それのおかげで皆に会えた。
『必然』のデアイ。
それは自分にとっての『幸せ』なのだと、最近とみにそう思う。
では、自分は何をすべきなのか?
自分に『できる事』は?
「――――夜が明けたら・・・今日の朝食は私が作ろうっと。」
何時もファイに任せてるから。
小狼にはべーグルに野菜とハムを挟んで。
ファイとモコナには、シナモンシュガーを乗せたトーストを。
黒鋼は・・・・・・。
「厚切りのトーストにたっぷりのバター、後はハーブのドレッシングでサラダかなー?」
少し白んできたような空。
夜明けがこんなにも待ち遠しいのは、初めてのような気がする。
「えいっ!」
思い切って飛び起きる。
服を着替えてそっと廊下に出た。
「私にできる事・・・・。」
皆が笑顔になってくれますように。
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