午前中、雪兎さんの指導を受けた。
「いいですか? 魔力というものは・・・・こうやって・・・・・。」
王宮の地下、水辺で受ける指導。
私の魔力で水面が揺れる。
荒々しい波を立てたり、静かな波紋を描いたり、とそれはその日によってさまざま。
「今はまだ安定していない状態です。よく遣えるようになると、波紋も変わってきますよ。」
雪兎さんが魔力を遣うとき、水面は本当に静かできれいな波紋を描く。
「私もそんな風に出来る?」
「出来ますよ、大丈夫。」
雪兎さんが太鼓判を押してくれる。
少しずつ、少しずつ。
私は、変わる。
私がもっと魔力を上手に遣えるようになったら、神官候補としても有力だ、と雪兎さんは言った。
「それには勿論、次なる王が決まっていることが肝要ではありますが。」
途端に苦虫噛み潰した顔になった、兄様。
「それって・・・・・・・・。」
遮って、『そんなのいつの話だ!』とか言って雪兎さんに食って掛かっている。
「勿論『王』が『神官』を兼ねる事も問題ありませんよ。・・・先王のように、ね。」
お父様。
お父様は、とても高い魔力を持っていらっしゃったって。
色々な事、出来たって。
「私・・・・知らない。」
記憶の中のお父様は、いつも優しい微笑を浮かべていらっしゃった。
私と視線の高さを合わせるように、膝をついて、肩に手をおいて。
でも、それは『お父様』としての姿。
『王』として。
『神官』として。
そういう存在であった記憶が、私には無い。
「兄様は知っているの?」
「あぁ、少しなら。」
私の知らないお父様を知る、兄様。
羨ましい。
「会いたい・・・・・。」
『お父様』にではなく、『王』に、『神官』に。
私の知らない『姿』に。
「会えますよ。」
「雪兎さん?」
「姫が、もっともっと修行して、先王に近い存在になったなら。」
修行して。
もし会えたなら。
私は、聞きたい。
尋ねたい。
私は、そしてお父様、貴方は。
一体『誰』ですか――――――――――?
|