<一日を想う10のお題  〜サクラ篇〜>

  「微 睡 む 誰 そ 彼」



今日は『猫の目』はお休みだ。
昨夜『鬼児』の襲撃を受け、ファイが足を負傷した。
医者に行くという事で、店は休業にし、様子次第で夜は開けることになった。
「ファイさん、ゆっくり休んでください。私、頑張ります!」
「ありがとうねー。助かるよーホント。」
包帯を巻いた足を椅子に乗せ、ファイはにっこりと笑う。
しかし足を椅子に乗せている段階でかなり痛いのだなとサクラにも解った。
(クッキーを焼いておいた方がいいな。ケーキの材料は・・・・蜂蜜はあったっけ・・?)
色々考えを巡らせて。
気づかぬままに時は流れていく。

――――――――――――――― * ―――――――――――――――

いわゆる『お三時』の時刻を過ぎた。
『本日休業』の札を見て、何人ものお客が残念そうに帰っていく。
それでもファイがいなくても開店できるようにサクラは一生懸命に仕込みをした。
(せめて夕方から夜の時間ぐらいは・・・・。)
軽食のサービスはやめにして、とにかくお茶とお菓子が何とかなるように。
さすがにたくさんの種類は作れないから、バウンドケーキを焼く事にした。
ドライフルーツをたくさん刻み込んで、生地には酒を少々。
オーブンから出せばよい色に焼きあがっている。
そっと串を指して抜いても、生の部分はないようだった。
「どうですか、ファイさん?」
「うん、いいねえ〜。これなら大丈夫だと思うよ。」
「良かった・・・・・!」
フルーツケーキともう一つ、紅茶のケーキも焼く。
こちらにはホイップクリームをたっぷりと添える事にした。
「これなら開店できるよ!」
モコナが飛び回りながら嬉しそうに言う。サクラもつられてにっこりとした。

『本日は都合により、夜のみ開店したします。開店時間・7時〜10時』

ピラリ、と紙を貼った。これを見たなら、今日来たいと思っている客は7時以降にやってくるだろう。
「譲刃ちゃんも来るかな?」
「草薙と一緒にきっと来るのー!」
あとは掃除をして、皆の夕食を用意して――――――――――。

「いらっしゃいませー!」

明るい声でお出迎え。
次々と客が入ってくる。
お茶を淹れて。
ケーキを切り分けて。
ホイップクリームを飾って。
それから、それから・・・・・。

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「サクラちゃん、本当に頑張ってたもんね。」
柔らかな髪を撫でながらファイは呟いた。
「うん、サクラ、本当に頑張ってる。今までと全然違うよ。」
モコナも肯定して。
本当にサクラは頑張っていた。
ケーキを焼き。
クッキーを焼き。
掃除をして。
皆の夕食を作り。

そして。
眠ってしまった。

「サクラちゃんがあんなに頑張ったんだから、店は開けないとね。」
「そうですね。俺、手伝います。」
「まあ今日は『鬼児』狩りは休業だな。」
「黒ぽんも手伝うのー!」
「はぁ?!」
「え?黒ぽん、サクラがこんなに頑張ったのに手伝わないの?!」
「何だと、てめぇっ?!」
「二人とも、しーっ!」
ピッと指を口に当てたファイ。はっとしたように黒鋼もモコナも口をつぐんだ。
「・・・・やらねぇとは言ってねぇ。」
「お運びはいいからー、洗い場をよろしくー。」
「・・・ふん。」
窓の外には、夕闇が迫ってきている。
古来『逢魔が刻』と呼ばれた、たそがれ時。
しかしサクラが出会ったのは、優しくも楽しい夢。

いらっしゃいませ!
ご注文はいかがいたしましょう?
お待たせしました!ロシアンティーとクッキーのセットです!
ご注文はお決まりでしょうか?
紅茶とフルーツケーキのセットを3つですね。かしこまりました!
ありがとうございました!またどうぞお越しください!

部屋のベッドの中、ただ一人眠る花の姫。
その口元に浮かぶ微笑みは、何ものにも勝る優しさに満ちていた。

あまりにも懐かしい桜都国。
ああ、このときは平和だったなあ・・・・・。(泣)
黒鋼がホール係をするとお客が逃げていきかねませんので(笑)
洗い場係に徹してもらいましょう♪
結構几帳面にグラスとかを磨いちゃったりして・・・・・・。(* ̄m ̄)

フルーツケーキと紅茶のバウンドケーキ、共に私が好きなケーキです。
まあ一般的なケーキではありますが、それなりに美味しい〜〜〜のです。

           作者・シュウ   2009.07.01UP

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