お月様。
お星様。
お願いします。
私に翼を下さい――――――――。
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玖楼国の姫たるもの、ちょろちょろ街へお出向きになるのはいかがなものでしょう?と。
そう言いながら教育係の老学者は長いひげをしごきながらちらりと見た。
言われた本人―――――――サクラ姫は、小さく小さくなって縮こまっている。
「もちろんお勉強などが終わっておられればまだよろしいのですが、姫様、昨日の宿題は。」
「えっと・・えっとね!もちろんちゃんとします!でもね、あちらのオアシスに綺麗な花が咲いているって・・・・。」
「お花もよろしいですが、優先順位が違いますな。」
ばっさり。
サクラはがっくりと肩を落とした。
「・・・・・そのお花をお父様にお見せしたかったんだもの・・・・・・。」
ごほんごほん、と老学者は咳払いをする。
情に訴えるのは姑息な手段ではあるが、この姫の場合は素でやるところに問題がある。
「お父上が、そのようにして摘んでこられた花を、お喜びになられましょうかな?」
サクラははっとしたように顔を上げた。
サクラ姫。
『やらなければならない事』を一生懸命にやる人が、一番光り輝いているのですよ。
やさしい父の声が甦る。
サクラはああ、と大きなため息を零した。
「私・・・お父様に叱られちゃう・・・・。」
言いつけを守らなかった悪い子だ。
『やらなければならない事』を一生懸命にしない、いけない人間だ。
「なんの姫様、今からでも遅うはありませぬ。」
ひげを撫でつつ老学者はニコリと笑う。
「今からでもいい、お父上に自慢できるように行動なされればよろしいのです。」
「・・・・・はい!」
根は素直な砂漠の姫。大きく頷くのを見て老学者も満足する。
「では一緒に宿題をいたしましょう。解らぬ所はどんどんご質問くだされ。」
「はい!・・・・・えっと・・・・ここは?」
「どれどれ、ここでございますかな。ふむ、これは・・・・・。」
緩やかで穏やかな時間が流れていく。
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私に翼があったなら。
何処までも飛んでいけるのに。
私に翼があったなら。
雲の上の国まで行けるのに。
「お父様。」
お父様からも、神様にお願いしてくださいな。
サクラに翼を下さい、と。
私、頑張りますから。
『やらなければならない事』を一生懸命にやりますから。
お月様。
お星様。
どうか力を貸してください。
私に、どうか――――――――――。
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