<君を想う5つのお題−一方通行編−  〜小狼篇〜>

  「なにひとつ疑わない君」




もし、俺が。


「貴女の名前は『サクラ』です。
そして、俺の恋人なんです。
でも記憶を失くしてしまって、それを探す旅を一緒に始めたんです。
俺たちは何時も一緒です。
貴女は俺のこと『小狼』って呼んでくれます。」


そう言えたなら。
どれほどか心が軽かっただろうに。
でも言えない。
君の目は、ぼんやりと焦点が合っていなくて。
その口から紡がれた言葉。


「あなた、だあれ?」


苦しかった。
哀しかった。
心が闇に満たされていくのを感じてしまった。


でも、俺は。


やる、と決めたから。


君は俺の説明をきょとんとした顔で聞いていた。
何の疑念も抱かずに。
唯一つ。

「知らない人なのに?」

その事以外は、何も。

「はい。」

俺に言えるのは、それだけ。
俺は、『知らない人』。
『記憶に残っていない』人。
支払った『対価』の重み。
俺とサクラの『関係性』。


俺はまた『過去』を見失った・・・・・。

お誕生日お祝いの『お題』です。
でもこの内容では、あまり『お祝い』ではないかも・・・・。^^;

小狼にとっては、自分の『意思』を持たず、ただ『ついて』来たサクラが、哀しくも愛しい。
そしてサクラが『自分』を取り戻しても、そこに『小狼』はいない。
過去を知らぬ小狼にとって、再び奪われた『過去』は、耐え難い苦痛であると思うのです。
でも彼は、前に進む。
この強さ、何処から来るんでしょうね?
シャオランとの関わりの中で、いずれ明らかにされていく事と思います。

           作者・シュウ   2006.04.01UP

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