もし、俺が。
「貴女の名前は『サクラ』です。
そして、俺の恋人なんです。
でも記憶を失くしてしまって、それを探す旅を一緒に始めたんです。
俺たちは何時も一緒です。
貴女は俺のこと『小狼』って呼んでくれます。」
そう言えたなら。
どれほどか心が軽かっただろうに。
でも言えない。
君の目は、ぼんやりと焦点が合っていなくて。
その口から紡がれた言葉。
「あなた、だあれ?」
苦しかった。
哀しかった。
心が闇に満たされていくのを感じてしまった。
でも、俺は。
やる、と決めたから。
君は俺の説明をきょとんとした顔で聞いていた。
何の疑念も抱かずに。
唯一つ。
「知らない人なのに?」
その事以外は、何も。
「はい。」
俺に言えるのは、それだけ。
俺は、『知らない人』。
『記憶に残っていない』人。
支払った『対価』の重み。
俺とサクラの『関係性』。
俺はまた『過去』を見失った・・・・・。
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