手が、ムズムズ。
足もなんだか落ち着かない。
目は忙しなく動き、鍛錬にも身が入らない。
「今日はやめだ。お前の心が明後日の方に行っていやがる。そんなんじゃあいくらやっても無駄だ。」
平静そうで、でも黒鋼さんの声は怒っていた。
申し訳なさでいっぱいになり、すみません、と頭を下げる事しか出来ない。
でもやはり、心は。
「小僧。何があった?」
「いえ・・・・別に何でも・・・・。」
ごまかしの効く相手ではないけれど。
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翌日。
そっと伺い見る。
(今日はどうだろうか・・・・?)
状況は――――――――――。
(よかった・・・・・。)
ほっとした。また同じだったらどうしようかと思っていたから。
だからといってそれを告げるのは――――――――。
できない。
やっちゃいけない。
きっと顔を真っ赤にするだろう。
もしかしたら泣いてしまうかもしれない。
そんな事になるとわかっているのに、するわけにはいかない。
きっと見えなかったんだ。
元々見えにくいところでもあるし。
身支度も急いでいたのかもしれない。
どちらにせよ、プライドは大切にしなければ。
俺が黙っていれば済む事なんだから。
姫の後頭部で、髪が一房明後日の方向に踊っていたなんて、そんな事は。
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