< 和 風 な 3 0 の お 題 >

         「 艶 」

      ――――――お題25『夜空に咲く華』を先にお読みください。――――――





「キレイだったねぇ〜〜・・・。」
さっきから感嘆の言葉しか、ファイの口からは出てこない。
夜空に咲いた芸術の華――――――打ち上げ花火は、氷の国の魔術師ウィザードの心を、いたく捉えたようだ。
「ま、あんなもんだな。」
ある意味『見慣れている』黒鋼にとっては、珍しくはないものなのだが。
小狼もサクラも満足げだ。カポカポと鳴るサクラの下駄の音が、何だかとても楽しそうで。
だが。
「・・・・おい。」
不機嫌そうに、眉間の皺を増やして背後に声をかける。
「またその辺のならず者に絡まれてぇのか。」
「・・・いや、今度はソエルも居るし・・・・。」
モコナを肩に乗っけて、夜店をのんびり冷やかしていた紫陽花1輪、目を丸くして。
「モコナも居るから平気なのー!」
「おめぇなんざ、物の役にゃ立ちゃあしねぇよ。」
「黒鋼、ひっどーい!!」
「とにかく、とっとと来やがれ。」
グイ、と腕を引っ張って。これでは夜店見物も終わりだな。えー?モコナもっとやりたーい!と、声が尾いてくる。
ため息を、はー、とついた。
「黒たん何処行ってたのー?」
「迷子になりそうな2匹を回収してきた。」
回収されちゃった〜〜♪と、ノー天気なモコナは、サクラの方にぴょーん、と飛んでいった。
ファイはくすくす笑いながら言った。
「別に子供じゃないし、迷子になっても大丈夫だよー?」
「そんなワケにいくか。」
(本当はすごく心配なくせに。)
心の中で、くくっと笑って。
見知らぬ男に腕を掴まれでもしたら、殺気だけで瞬殺しかねないのに。
それが自分でも解っていないようなのが、何だかおかしい。
(こーいうのを『朴念仁』って言うんだっけー?)
「・・・・だーかーらー・・・・・。」
気が付くとまた傍を離れている。
頭をガシガシと掻いて。
姫や小僧より性質たちが悪い、とか呟きつつ。
しゃがみこんで見つめる先に目を遣った。


「・・・・蛍か・・・・。」


小さな光が、あちらこちらに。
「サクラ姫は見た事無いかもしれないな。」
そういわれて、ああ確かにそうだ、と思い至る。 砂漠には、水辺に集う蛍はいないだろうから。
「姫、『蛍』だ。見るか?」
声をかければ、カラコロと駆けてくる。
「・・・・きれい・・・・!」
花火とはまた違った、情緒豊かな、蛍の光。
見れば傍にはホタルブクロが咲いていて、いくつかの蛍が花の中に入って光っている。
それが一段と幻想的な光景となって。
夢中で見つめるサクラと小狼。
ファイもただ感動の中にそれを見つめて。
サクラたちに特等席を譲って後ろに退がると、モコナがぽすっとリアンの肩に乗ってきた。
「如何した?ソエル。」
「皆見とれてるから遠慮したの〜。」
「そうか。」
「・・・・あ!」
「?」
「リアンの襟に・・・蛍がとまったの!」
後ろじゃ見えないよ、と呟いたが、蛍を払うでもなく、そのままにする。
モコナは至近距離で蛍を眺めてご機嫌だ。
――――――黒鋼は。

(―――――――――何なんだ?一体・・・・?)
握りしめた手が、熱い。
身体のうちから、何か熱いものがこみ上げてくるようで。
今まで、何も感じなかったのに。
何故なのかが解らない。
それは、とてももどかしい気持ち。


蛍の幽かな光に照らされた、白いうなじに掛かる後れ毛を見るまでは。




             

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これはお題25『夜空に咲く華』の続編です。

もしもーし。黒さまー?(笑)
うなじが綺麗なのはファイさんもですが。(爆)
此処は本人には見えないし、手入れもしにくい所なので、
本当の『美人』は、此処が綺麗な人だ、と聞いた事があります。
ただその意見をのたまった人が、いわゆる「おっさん(飛王にあらず)」なんで(笑)
いささか信憑性には欠けますが。^^;

しっかりしろ!若様。(無理?)

           作者・シュウ   2006.06.28UP

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