カタンカタン、と音がする。
そっと覗けば、なにやら棒や糸やらがかかった機械を動かしていた。
「『機織機』か。」
黒鋼の『日本国』にも似た物が有ったのだろうか。紅い瞳が、少し懐かしそうな色を湛えた。
「『羽根』で『羽衣』を作ってる。」
視線は機織機から離さず、リアンは応えた。
見れば、機織の合間合間に羽根を手にして、中に織り込んでいく。
織りあがった布は、えもいわれぬ光沢を帯びていた。
「・・・きれい・・・・。」
サクラが感極まった様子で呟く。
『羽衣』は、七色の光を自在に浮かべて輝いている。
「『羽根』を探している、って言ってたよね?」
その問いは小狼に向けて。
「はい。」
「もしかしたら、工房のストックの中にあるかもしれない。」
そこで初めて目をこちらに向けた。
「『ありとあらゆる次元』の羽根を在庫に持つ必要もあるんでね。」
「工房ですか?」
「そう。・・・来る?」
応えは速攻で。
「お願いします。」
その速さで納得したのか。リアンは機を織る手を休めて、立ち上がった。
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「まあ仕事で使うからね。」
そう言って案内されたのは。
「・・・・・・・。」
声も出せず。ただ呆然と見渡す。
部屋の天井は何処までも高く。
壁面は無数の抽斗に埋め尽くされていた。
「新しく見つけたら、必ず保存する。・・・希少な物かもしれないからね。」
そう言いながら、中央に据えられた大きな机に歩み寄る。
「加工するのは2本目が見つかってから。どんな特徴かは全て記録している。」
机上の分厚い本を指でたどり、2冊ほど抜き取った。
「『色が白い物』がこれ。こちらは『模様が入っている物』。」
指し示されて。
小狼はパラ、とページをめくった。
「・・・これは・・・!!」
そこには各ページに様々な『羽根』の写し絵と特徴などが記載されていた。
いわば『羽根』のデータベース。
はっと我に返り、ページを次々と繰る。
どこかに『サクラの羽』がある、と信じて。
黒鋼も面倒くさそうだが、しかし確実にページを送る。
約3分の1程度ページを送った所で。
「・・・あった!!!」
皆が覗き込む。
「間違いねぇな。」
そこには確かに『サクラの羽』の絵があった。
「んー・・・『A16・G791・S985』・・・・。」
ぶつぶつ言いながら。長い梯子を持ってきた。紐を引っ張れば、さらに伸びる。
「・・・そんなに上に?!」
どう考えても、3階以上の高さの辺りに、目指す抽斗はあるらしい。
するすると、それこそサルのように登っていく。
「これだねー。」
抽斗を引き抜いて。これまたするすると降りてきた。
でも。
「モコナ、何も感じない。」
モコナが首を横に振る。リアンは『?』という顔をする。
「モコナは、サクラ姫の羽を感知する事が出来るんです。」
小狼が説明する。それで納得した、という顔をした。
「これには『シールド』がかけてある。」
「しーるど・・・?」
鸚鵡返しに黒鋼が問う。聞いた事の無い言葉だ。
「『結界』みたいなもんだよ、黒様。」
ファイが補足した。なるほど、と頷く。リアンは抽斗の中から箱を取り出した。
「この『羽』は強い力を持っている。だからシールドをかけて封印してあるんだ。」
なにやら操作して。カチリ、とロックを外した。
「・・・あ!!」
覗き込んで。小狼は声を上げた。
「姫の羽・・・5枚も?!」
「『羽根』を探しに色々な次元をも渡る。そのついでに手に入れた物だ。」
1枚取り出して。モコナの目はまん丸になっている。
「とても強い力だから、加工はやめたんだ・・・。」
呟くように。
そして羽は取り出され、小狼の手に渡った。
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