わいか?
見て解らんか?
『日向ぼっこ』してるねん。
は? そういうものは寝っ転がってするもんだ?
・・・・・構へんやろ。
何処の誰が決めたねん。
「ブランコに座って日向ぼっこしたらアカンやなんて。」
空汰はかすかに口の端を歪ませた。
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実際のところ、空汰がそこに居るのは本当に珍しかった。
「俺がここに居たらアカンなんて法律はあらへんやろ。」
苦笑いしつつそうだ、と答えれば、空汰も苦笑いをふと浮かべる。
「たまには童心に帰るのもええやろ。お前もどうや?」
「俺が座ったら壊れますよ。耐荷重量的に。」
「そんな事あらへんやろ。よう3人乗りとか4人乗りとかやっとるやないか。」
「危ない乗り方、ですけどね。」
結局座ることなく、支柱にもたれて腕を組む。
キイ、キイと音がする。
「本当やったらこんな金属音は不快なもんやけどな。」
「意外に気になりませんね。」
「小さい頃から慣れ親しんだ音やからかな。」
キイ、キイ。
空汰が揺らすたびに軋んだ音が上がる。
「なあ、お前・・・・・好きな女に告る時、どんな風に言う?」
鉄砲玉を食らったような顔を見て、『聞く相手間違えた、スマン。』と呟いた。
「・・・・俺、そういったことにはどうも。」
「ホンマにスマン。でもな、誰かに尋ねてみたかったんや・・・・・。」
キイ、とブランコが揺れる。
「わいな、もう解らんようになってん・・・・。」
それは、とても苦しそうに。
「一体どんな風に言うたら俺の心は通じるんやろ?」
苦笑いするのも失礼な気がして黙っていた。
空汰は本当に悩んでいるのだ――――――――。
「・・・先生だったら、こう、直球勝負しかないんじゃないかと思うんですが。」
人におもねる事も、いいつくろう事も良しとしない性格だ。
変に美辞麗句を重ねる空汰はどうにも想像できない。
「わいもなぁ、そんな言葉言うたら、ホンマに歯が浮いてズキズキしよるねん。」
真面目な顔をしていうところを見ると、どうやら経験済みらしい。
「しまいには舌噛んでなぁ・・・・・マジで呆れられたんや。」
これは容易に想像できる。同情には値するだろうが、先に笑いがこみ上げてきそうだ。
「そやな、やっぱり男は当たって砕けろやな!」
自己完結して、空汰は勢いよく立ち上がった。ブランコがガコン、と鈍い音を立てる。
「ホンマに砕けたら、お前、ヤケ酒付き合えや!」
「成功したら祝い酒でよろしく。」
「おぅ!ほな行ってくるわ!」
「俺はどっちも楽しみにしておきますよ。」
意気削ぐ事言うなぁ!と。
拳を振り上げながら去っていく空汰を見送りながら、ふと考えた。
(俺はどちらの酒が飲めるんだろう?)
願わくば楽しい酒がいい。
(成功、祈ってますよ。)
誰も乗っていないはずのブランコが、キイ、と音を立てた。
こっそりと、応援しているかのように。
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