「『マツヨイグサ』ですね。」
「『宵待ち草』だな。」
「『月見草』か。」
三人三様に、しかし同時に。
道端に咲いていた花を見て発せられた言葉は。
「・・・・・・・。」
思わず顔を見合わせた。
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探索はどうしても夜になる。
「『夜』にしか『羽』の反応が見えない。」
そう言われてしまえば、『夜』に動くしかない。
いつもは組になって別れて探索するのだが。
今日はたまたま近くで行き会った。
ついでだから、と地図でそれぞれの探索してきた場所をチェックして。
またいくつかの場所にそれぞれ向かう事になり。
分かれ道までは、と一緒になって歩いていた。
その途中の川べりに、黄色い花が一群れ咲いていて。
それを見た小狼と黒鋼とリアンがそれぞれにその名前を言った。
「えー?どれが本当?」
ファイの問いに。
「どれも一緒ー!」
「皆同じだよ。別名であるだけだ。」
これまた同時にモコナとリアンが答えた。
「侑子だったらねー、きっと辞書の一文全部、暗誦してみせるのー♪」
これは実際聞いた者にしか解らない。
事実、モコナの言葉に苦笑を浮かべたのはリアンだけだった。
「確かにやりそうだ。」
と呟いて。
彼方の次元で『次元の魔女』がくしゃみをしたかどうかはさておき。
「『花言葉』はあるの?」
「確か有ったな・・・・え・・・と・・・・。」
少し考え込む。
「ファイさんの国にはこんな花は無かったんですか?」
玖楼国にも無かったと思います、というサクラの問いに、ファイはちょっとだけ寂しそうな目をした。
「オレの国は、とっても寒いからねー・・・花なんて、種類も少ないし、すごく貴重品だったよー?」
「そうなんですか・・・・・。」
サクラはファイに謝った。
御免なさい、辛い事を思い出させてしまって。
えー?いいんだよ〜〜気にしないで?
へにゃりとした笑顔の裏で、故郷への逡巡が見え隠れする。
(『人を変えるチカラ』とは、全く不思議なものだ。)
白き魔術師が『故郷』の事を話すのは、とても稀な事であるのだから。
しかし皆がそれに気付いているのかどうか。
一つ目の分かれ道に来た。
「『月見草』の花言葉は、『自由な心』だ。」
ようやく思い出して。
では此処で、と袂を分かった。
「『自由な心』か〜〜〜・・・・。」
咲き群れる『月見草』を眺めて白き魔術師が呟く。
「いい言葉だね?黒たん?」
「あ?俺に振るな。」
少しぼんやりしていたのを照れ隠すかのように声を上げて、忍者もまた道を分けた。
「じゃあオレたちも行こう〜〜〜。」
何故か黒鋼はモコナと組になっていたので、必然的に残ったファイと小狼、サクラが組になる。
「黒様がモコナとケンカしまくるのに1票〜〜!」
「ファ・・・ファイさん・・・・・。」
何だか賑やかな一行は、月の光の中に消えていった。
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(知世姫が言っていたな。)
『宵待ち草』の花言葉を。
(確か・・・・・。)
思い出して、んが!と口に手を当てた。
「黒鋼ー?どうしたのー?」
「何でもねぇよ!それよりしっかり『羽』を探しやがれ!」
声を荒げて。
こちらはこちらで、また賑やかだ。
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「『月見草』ね〜〜。綺麗だわ。これの花言葉知ってる?」
傍らのラーグに問いかけて。
「『自由な心』だろー?クロウが教えてくれた。」
「そう、よく覚えていたわね。・・・・でもね。」
口元に浮かぶのは、魔女の微笑み。
「『宵待ち草』の花言葉はね・・・・・。」
カラン、とコップのアイスボールが揺れた。
「『浴後の美人』っていうのよ♪」
まさにアタシって感じー♪と縁側から上がった声。
おつまみを持ってきた少年がツッコミを入れたとか入れないとか。
魔女の家から見る月は、何処か笑っているかのようだった。
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