< 和 風 な 3 0 の お 題 >

  「夜 空 に 咲 く 華」




「お・・・可笑しくないですか?」
顔を真っ赤にして砂漠の姫が尋ねる。
柔らかく結い上げられた髪に付けられた髪飾りの鈴がチリリ、と音を立てた。
「よく似合ってますよ。」
「うん、可愛いよ〜。」
「それでいいんじゃねぇか?」
男組の感想に、サクラはようやく顔を上げた。
薄いピンクのぼかしの地に向日葵の柄の入った浴衣は、殊の外サクラに似合っている。
下駄の音がカポカポ、と転がるように響いた。
「だからいいって言ったのに。」
そう言いながら、扉から出てきた、その人は。
「!!!」
小狼の耳元が少し赤いのは気のせいか。
薄い紺を刷いて、大輪のアジサイが咲いている。サクラよりはぐっと大人びた感じで。
「リアンも似合ってる〜〜!」
「ありがとう、ソエル。」
モコナの明るさに、座の空気は救われた。
「ん、と、じゃあ、そろそろ行こうか〜〜?」
目指すは少し離れた川岸。
今日は花火大会が開かれるのだ。


打ち上げ花火がどんなものか。
黒鋼は当然知っている。
「花火師たちが競い合いをするんだ。」
それは思い起こすように。
「モコナも見た事ある!」
白い物体がピョンピョンはねて。
「あぁ、見たことならある。」
何処で、とは言わなかったが。
他の3人は首を横に振った。
主にモコナが説明をして、じゃあ見に行こうか、という事になり。
「花火見物といったら絶対浴衣!」
という、かなり根拠に乏しいモコナの発言により、一同は浴衣に着替える事になった。
男組の方は黒鋼が着付けた。
サクラは髪のセットも含め、リアンが請け負う。
(自分が着付けずに済んで良かったとは、忍者の後日談ではあるが。)
二人並んで歩く小狼とサクラは、本当に似合いのカップル、といった所だ。
「微笑ましいねぇ〜〜。」
ファイの感想はもっともだ。黒鋼も異議を唱えない。
だが。
「でもこっちは大変なの〜〜。」
モコナが指す方を見れば。
「・・・・ありゃ。」
ファイがほー?と手をかざして見、黒鋼が眉間に皺を寄せた事には。

柄の悪そうなのに、ナンパされて?いや、難癖を付けられているアジサイ一輪。


*****************************************


「・・・とりあえず、気ぃつけるって事ぐらい覚えやがれ。」
別に困ってなかったけど?という呟きは無視されて。
「一人で歩いてるからだよぅー。」
柄の悪いのは、大人二人が剣呑な気を孕んで傍に立ったら、あっという間にビビって逃げ出した。
どちらかというと、忍者よりも魔術師の方がかなり『黒い』気を放っていたのだが。

その『気』の質は、二人では根本的に違う。
内面の『黒さ』では、確実にファイが勝つ。
黒鋼のは『戦気』だ。
どちらも、そんじょそこらのチンピラごときでは、到底叶うものではないレベルの物だ。
団扇で口元を隠しながら、少し首を横に振って。でもありがとうね、と小声で言った。
「・・・・・・・・・・。」
ふう、とため息一つ。どう言葉を接ごうかと捜し始めた頭にモコナの声が響いた。
「始まるよ!」
次の瞬間、夜空に光の華が咲いた。
「・・・うわぁ・・・!!」
初めて見るらしいファイは、思わず感嘆の声を漏らす。
これは、いわば『芸術』。
まさに『匠の技』と賞賛されるもの。
見上げる横顔に、その瞳に、天井を彩る虹が映る。
「・・・こんなのは、何処で見たんだ?」
「ん?」
質問が自分に向けられていると知って。リアンはふんわりと笑った。
「色々な世界に行ったからな。『日本国』に近い所はいくつでもある。」
「・・・・・・。」


本当は、もっと知りたい。その人の事。
だが、それが出来ない。
自分にもどかしさすら覚えて。


夜空の花火のように、全てを見下ろせたら、どんなにか。
謎に満ち満ちた、『魔女』の全てを。




              







黒鋼が別人です(笑)
時間的にはエステリアランドより後。
気になって仕方が無い、情報収集能力欠如状態の忍者です。(爆)

しっかりしなはれ、若様!!^^;

           作者・シュウ   2006.05.01UP

copyright ©2006 時の翼 all rights reserved

inserted by FC2 system