月光に銀の光が重なって奔る。
同じようで、違うようで。
続いて奔る、紅の色。
もう見慣れたものだ。
当たり前のものだ。
俺の目には、銀と紅しか映らなかった。
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「そういう意味においては、本当に貴方は変わりましたね。」
「そういう意味、ってどういう意味だよ?」
「『そういう』意味ですわ。」
「答になってねぇぞ。」
「十二分に『答』ですわ。」
こうなるともう禅問答の様相を呈してくる。
早い話がお手上げだという事だ。
「あら今日はもう降参ですの?」
その嬉しそうな、どこか残念そうな顔は何だ。
「困りますわ。もっとちゃんと食いついてきていただかないと。」
俺は魚か。
「えぇ、『魚』ですわ。大きな、大きな、色んな意味での『さ・か・な』。」
冗談じゃねぇ。
それこそ色んな意味で『食われて』たまるか。
「面白くありませんわー。」
・・・・・・・知るか。
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「これを貴方に見せるのは初めてでしたわね。」
そう言いながら出してきたのは結構でかい水晶玉だった。
「でかいな。」
「えぇ、これほどの大きさのものはなかなか産しませんのよ。」
知世が手をかざすと、どこか光を増したような感を受ける。
「魔法具か?」
「そういう位置づけになるでしょうね。」
光は何処までも澄んでいるように思えた。
それは、どこか刀の光に似ている。
銀竜も、蒼氷も。
ふとした時に奔る、銀の光と同種のものを感じた。
「私にとって、これは貴方の刀のような役割を果たすからでしょう。」
つまり、武器だという事か。
武器、という言葉に語弊があるなら『装備』と言い換えてもいい。
己を鎧い、身を守るためのもの。
護るべき者を護り、敵に対して仕掛けるもの。
刀のように直接攻撃をするわけではないが、これも立派な武器となる。
「『サムライ』ですから。」
ニコリ、と笑う。
「『侍』はその字が示すがごとく、『人に侍す』もの。」
その煌く銀光をもって。
その凄烈たる鋭さをもって。
「その形状はどうあれ、その本質に変わりはありませぬ。」
刀の形だろうが、丸い玉だろうが。
『その力をもって護る』事に変わりはない。
「私はこれをもってこの日本国を護ります。」
「俺はこの刀をもってお前を護る。」
澄んだ光、銀の光。
その種は違えども、心は同じ。
「私は日本国の『サムライ』ですわね。」
「俺は知世の『サムライ』だ。」
護って、護られて。
『共存』とはまた違った形での『共に在る形』。
「一献差し上げましょう。名酒が届きましたのよ。」
「遠慮なく馳走になろう。」
サムライ二人。
光は確かに凄烈な煌きを見せていた。
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