さらさらさらさら・・・・・・・。
砂が落ちる音。
一粒一粒が命の煌きを残して落ちていく。
広大な砂漠の一粒一粒が。
(器の上にあったなら。)
何と雄大なる時の流れが生まれ出ることだろう。
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砂漠の国、玖楼国。
ここを訪れるのは久しぶりだ。
今回の用向きは二人の結婚式。
そう、小狼とサクラ姫の。
「やっと一緒になれます。」
照れ笑いをしているのだろう、声が何処と無く浮き立っている。
宴は続き、やがて太陽が地平線に沈んでいく。
「どこかご気分でも?」
廊下で夜風に当たっていると声をかけられた。
「新郎が花嫁を放っておいてよいのか?」
「さくらならモコナとファイさんの漫才に笑い転げてます。」
「そうか。」
手すりにふと、手触りを感じた。
「砂・・・・・・。」
風に吹かれてきたのだろう。
如何に砂防林などが有っても限界がある。
少し集めると、細かな砂の粒が指につく。
「この砂が・・・代わりになってくれたらいいのに・・・・。」
どういう意味だと問えば。
気配が哀しみを帯びる。
「ここにはこんなにも砂があるのに。」
さらさらさらさら。
「貴女の・・・砂時計の砂は・・・・・・。」
砂を握り締める音がする。
そっと手を伸ばせば、固く握った拳に行き当たった。
「・・・私の砂時計は命そのもの。命は何物にも換えられない。」
「・・・悔しいです。」
その拳にさらに力が込められる。
「如何に似て非なるものであろうとも、ここには無限とも言える数の砂がある。」
「小狼。」
固く握った拳を開かせれば、細かい砂粒が零れでた。
「私がここに在る事、皆の記憶、心の中、それぞれが一粒一粒の砂。」
手のひらについた砂を静かに掃い、そっと握った。
「永遠なる物など存在はしない。全ては時の流れの中に流れていくもの。」
「・・・・・・はい。」
「記憶のどこかで、忘れないでいてくれたら・・・・・それでいい。」
ずるずると。
しゃがみこんだ小狼は、私の手を包み込むようにして額に当てた。
微かな振動が伝わってくる。
「小狼?」
「・・・忘れません・・・・決して、・・・貴女の事・・・・・忘れません。」
いつもは澄んでいる月光が。
妙にざらついた光を投げかけた、砂漠の国の夜だった。
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