< 和 風 な 3 0 の お 題 >

  「 紅 桜 」



ひと口に『桜』と言っても、様々な種類がある。
「色の濃いのや薄いの、花が一重だったり八重だったり。」
風が流れ、花びらを運んでくる。
「香りも違うかな、俺には今ひとつ解らねぇが。」
ふわりとした微笑みは何ものにも勝る。

「早咲きもあれば遅咲きもあるしな、本当は三回ぐらい来るのが一番なんだが。」
それが無理な注文である事は解っている。
今は時期的には、後期といったところか。
「これは黄色いですが、これも桜なんですか?」
「ああ、珍しいかもしれねぇが、れっきとした桜だ。」
どこか黄緑に近い花は、ぱっと見には桜に見えない。
でもそれゆえに、稀少なものを見たという満足感が得られるというものだ。
一重の花。
八重の花。
薄桃色の花。
濃い桃色の花。
黄色い花。
どれもが皆『桜』。
皆同じ。
皆違う。
「皆違って、皆良い・・・・って所ですね。」
琥珀色の瞳に花吹雪が流れて映る。

どこかぼんやりとした桜の園。
その色に、香りに、花の量に。
圧倒されてフワフワと包まれて。
そんな意識がバチン!と戻された。

「黒鋼さん・・・あれは?」

茫洋とした桜色の海の中で。
それは一点紅を刷き。
そこの空気は凛として気高くさえある。
「緋寒桜の一種だろうな。この時期に咲くのは少し珍しいかもしれねぇ。」
その紅色は、何かを訴えかけるかのよう。
サクラはそっとその幹に手を当てた。

私にあなたの声を聞かせて。
私はあなたの言葉が聞きたいの。

桜とサクラ。
紅色の会話の内容を生涯誰にも教えなかったのは。
「二人だけの秘密、なの。」
春の宵が見せた、それは幻。









お〜珍しや。(笑) 黒サク風味でございます。
でも置いてきぼりを食らってるワンココンビがご愛嬌。(笑)

最近はサクラちゃんの『声なき者の声を聞く』っていうのがどこかに追いやられているようで・・・・。
あれはあれで素敵なものなのですが。
どこかで思い出してほしいな・・・・・。<原作で (T_T)

           作者・シュウ   2009.07.20UP

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