古の時より、そは謳う
この国を守りて
そして滅ぼす
そは美しき羽根を纏いて地上に降り立つ
大いなる「アヤシ」のチカラもて。
「・・・ちっ!!」
見失った――――と知って、黒鋼は思わず舌打ちした。
ゲートでトラブらなければ、こんな事にはならなかったのに。
(くそったれが!!)
心の中で毒づいて。辺りの気配を探る。人は結構多い。
(だが――――まだ、追える!)
確実に。
気配を捉えた。
(近い!)
その角を曲がって、少し歩いた、そこに。
「・・こんな所に居たのかよ。」
そこは小さなカフェテラスだった。
―――――――――――――― * ―――――――――――――
「―――――――ネコの鈴、か。」
仏頂面で傍に立った忍者を見上げて、呟いたのが、この一言。
「・・・あぁ?」
「何でもない。・・・座ったらどうだ?」
指し示された椅子に座る。リアンはウェイトレスを呼び止め、コーヒーを2つ注文した。
「・・・・1つ、聞いていいか。」
コーヒーを持ってきたウェイトレスが去るのを確認して、少し声を低めて訊ねた。
地図を見ていた目が、黒鋼を捉える。それを了解と受け取って言葉を続けた。
「・・・あの時、係員を見たな。・・・何でだ?」
黒鋼もまた、リアンの視線がゲートの係員を見たのに気づいていた。
「普段、お前は表情がねぇから、何考えてやがるかさっぱりわからねぇ。」
これは本音だが。
「だが、あの時、お前は表情を――――変えた。そして係員の・・・一人だけを見た。」
応えは、無い。それは次を促すかのように。
「・・・・何か有るのか、あいつには。」
「手先、だな。」
「・・・それは・・・・『見ている誰か』のか?」
黒鋼の視線が凄みを帯びる。『見ている誰か』なら、それは―――――。
母を、殺した者。
「『こちら』に来させたくなかったようだな。『敵』は。」
否定も肯定もせずに。
その応えに、今度は黒鋼の方が目を細めた。
微かな舌打ちと共に。
「私は『映らない』。」
何の障りも無いかのように、コーヒーを飲みながら。
「『監視していたい』のに、『映らない』のでは話にならぬ。」
それは、『誰か』にとっては真に不都合な事だろう。次元の魔女も言っていた。
『貴女はどんな予見にも、水鏡にも映らない――――――。』
「だから、『ネコの鈴』を付けた、という訳だ。」
その指先は、黒鋼を指して。
「・・・・俺かよ?!」
「『映る』者が傍に居れば、『映らない』者の動向は把握できる。」
「・・・・・!!」
では。
自分が『こちら』に来たのは、もしかしたらかえって不利な状況をもたらす事になるのでは?
「その事なら心配しなくてもいい。」
まるで心を読んだかのように。
「『向こう』がその気なら、『こちら』が先に行けばいいだけだ。・・・1歩でも半歩でも、な。」
そう言い切って、コーヒーを飲むその口元が、微かに笑っていると感じたのは気のせいだろうか。
悪魔のような、凄絶さと共に。
「・・・・・。」
ぞくり、とした。知世姫も時折『怖さ』を見せる事は有るが、これほどの『気』を感じさせた事は無い。
この人は。
しかし、もうその『気』は何処にも感じられない。まさに一瞬――――垣間見せた『表情』だったのか。
改めて、問う。
「・・・お前は、『奴』を知っているのか?」
もしかしたら。
それは、『共通』の。
『応え』は、無かった。
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「リアンさんは、気づいてたようだね。」
道なりに歩きながら、ファイはさっきから解説を続けている。
「あの係員さんの一人は、『敵』だよ。」
あえて、『敵』と言う表現を使った。
「ゲートを操作して、オレ達を『あちら側』に行かせない様にしてたんだ。」
「・・・・それは、『あちら側』に・・・『羽』があるって事ですか?」
「たぶんねぇ。」
ファイは、んー?と空を仰ぐ。
「とりあえず、用事を済ませたら、まずは図書館へ行こう。」
「え?」
「この『国』の歴史・・・魔力を『厭う』理由を確認する必要が有ると思うんだよね。」
小狼が受け取った『地図』を手にして。
「『これ』は・・・ちょっと『大事』に持ってた方がいいと思うよ。」
「どういう事なんですか?」
「つまりね。」
ファイは、そっと声を潜めた。
「この『地図』は・・・本来手に入らないものなんだよ。『こちら側』では、ね。」
「え?」
「ま、その説明は後でするよ。・・・まずは、あそこ〜〜。」
ファイが指した先は、洋服屋、だった。
「この国の服装は、今までにもあったものに似てるねえ〜・・・ジェイド国とか、レコルト国とか。」
さっさと服を選んでお着替え体勢に入る。小狼とサクラも、慌てて服を選び始めた。
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「・・・・・で、やっぱ着替えるのかよ。」
これは結構面倒なのだが。黒鋼は身体が大きいので着る服が限られる上に、戦闘要員である事も要求される。
顔一杯に『面倒くせぇ』と書いてある忍者をものともせず、ほいほいとその手に服を乗せていく。
「ま、こんなもんでしょ。」
さっさと見立てて、女物の方に行ってしまった。ため息を1つついて、着替えてみる。
「・・・・・・ほぉ。」
サイズはピッタリだった。シンプルなデザインで、何よりも動きやすそうだ。
見た目よりも機能性を重視した、といった所か。
(ふぅん・・・・・?)
いつもならば、ファイや小狼が見立ててくれる。
が、基本的には同様ではあるけれど、大抵何処か気に入らなくて、何かしらもめるのが殆どだった。
(ま、文句は無ぇ、か・・・・。)
好みの合致、という事に気が付かない。
とりあえず着替えて出てくると、やはり着替えたらしいリアンと目が合った。
「!」
何か弾けた様な気がしたが。リアンもやはり似たような服を着ていた。
「そりゃあ、男物じゃねぇのか?」
「背丈が合わなかった。」
確かにリアンは、女性にしてはかなり背が高い。ヒールなんぞを履いたらファイを抜いてしまうかもしれない。
(それに・・・・。)
窓の外を歩く『女性』の、その服装は。
(あんまり想像つかねぇなぁ・・・・。)
サクラなら十分似合いそうな、『ドレス』。ジェイド国やレコルト国で見たような風俗らしい。
「ま、どうでもいいけどよ・・・。」
独りごちて。二人は店を後にした。
「で?次は何処へ行くんだ?」
「とりあえず荷物もあるから、宿を取ろう。」
そういって指差した先には、ホテルがあった。古そうだが、しっかりした造りと見える。雰囲気は悪くない。
中は絨毯が敷かれ、ホテルマンたちもきびきびとして小気味が良い。
「・・・・さて?」
カウンター越しにフロントと交渉していたリアンが振り返った。
「どうした?」
「団体客が入っていて、1部屋しか空きが無いそうだ。」
「!!!」
「ま、野宿するよりマシだろう・・・ソファベッドを入れてもらったら問題あるまい。」
(・・・・マジかよ?!)
こいつは本当に大丈夫か、と疑いたくなった。
この状況で。
恋人同士でもなんでもない『男』と『女』が1つの部屋で。
それを何とも思っていないらしく、さっさと手続きしている――――『感情』が『欠落』しているにもほどがある。
「どうした?行くぞ。」
果てしなく頭痛がする。理性とかそういう問題を既に逸脱しているようで。
(俺の目の前歩いてんのは・・・・『魔女』ってのは、やっぱり『人間』に分類しちゃいけねぇんだろうな・・・・?)
とりあえずは、『魔物』や『アヤカシ』の類ではないのは確かなのだが。
廊下の突き当りの部屋が、あてがわれた部屋だった。カチャリとカギを開けて中に入る。
真っ暗だったが、入り口にある明かりのスイッチをつけて、部屋が明るくなって。
視線を部屋の中に戻して、今度こそ本当に黒鋼は固まった。
「・・・おい・・・『此処』って・・・・・。」
「あぁ。『スイートルーム』と言うのだがな。日本国にはこのようなものは無かったか?」
「・・・そういう問題じゃねぇだろうがぁっっ!!!」
忍者の叫びは、行き所を完全に無くしていた。
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「う〜〜ん、サクラちゃんはやっぱり似合うね〜〜。」
「サクラ、可愛い〜〜♪」
「そ・・・そうですか・・・?」
真っ赤になって俯く、その姿は、本当に微笑ましい。
サクラの着たドレスは、柔らかな曲線を描いている。
歩いていると、一行は結構人目を引くようで。
視線の多くはサクラに向いている。それがくすぐったいようで。しかし、何処か妬ましさすら覚えて。
小狼は自分の心に戸惑っていた。
「あ、ちょっと休憩しようか。」
思いのほか洋服屋で時間がかかったので、もう夕暮れ時になっている。
「モコナ、おなか空いた〜〜。」
「ん〜〜?じゃあ『お茶』じゃなくて『夕食』にしようか?」
「あ、もう少し行くとレストラン街みたいです。」
地図を見ながら小狼が指差した。その方向は何やら明かりが沢山あるのがわかる。
「どんなレストランがあるか楽しみだねえ〜。」
「口に合うものだといいんですが・・・・。」
そんな心配はレストラン街に入った途端に吹き飛んでしまった。
色々な料理の店が所狭しと並び、まさに選り取りみどり。
思いっきり迷う所ではあったが、比較的落ち着いていそうな、家庭料理らしき所に入ってみる。
ファイが色々な物を店の者に訊ねながら注文し、いざ並んだ物は、どれも美味しかった。
「これ本当に美味しいです!」
サクラが頬を染めて声を上げる。小狼も笑顔一杯で口に運ぶ。モコナもまさに『快食』状態で。
ファイはフリッターをフォークに刺しながら、ふと呟いた。
「黒たんやリアンさんも、今頃何か食べてるかな〜〜?」
「黒鋼、きっとがつがつ食べてる〜〜!」
「あはは〜〜!きっとそうだね〜〜。」
楽しげに応じる。みんなの笑顔を見ながら、ふっとファイは真顔になった。
『向こう』の事は、わからない。
訳のわからない不安が、心に忍び込む。
密やかに、しかし確実に。
それが何であるか、ファイには解るようで、でも解らなくて。
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スタスタと、部屋を横切っていく。
戸棚から毛布と枕を取り出し、不自然に、いかにも後から入れましたと言わんばかりのソファに歩み寄る。
ポフポフとソファを叩き、ベッドをしつらえる。
そして、振り向いた。
「『こちら』を貰う。・・『そちら』を使えばいい。」
「ちょっと待て。おめぇが『そっち』を使え。・・・俺は『こっち』でいい。」
激しい頭痛を振り切るようにして、ようやく思考を稼動させ、声を振り絞る。
『こちら』はソファベッドで。
『そちら』はダブルベッド、だ。
「ガタイの大きさを認識しろ。・・・『こちら』でいい。」
(『こんな』所で寝れるかよ!!)
『一人で寝るには広すぎる』ダブルベッドで。
もちろん、そこには。
『二人で寝る』と言う選択肢は存在して『いない』のだが。
―――――――――――――― * ―――――――――――――
「・・・さて、行くか。」
その声に、思考は一気に巻き戻る。
「何処へ行く?」
今は、己の為すべき事を。
「この国を、見そなわす場所へ。」
高い場所、と言う事か。それならば。
「あそこ、だな。」
それは此処に来る途中に見かけた、高台の城のような建造物。
あそこなら『見そなわす』事が出来るだろう。
しかし、何を?
(『何を』見る?)
視線の先にある人は、しかし何も言わない。
ホテルを出ると、空の色が少し変わっているのに気づいた。
「もうすぐ日が暮れるな・・・・・少し急ぐぞ。」
少しく振り向いて、告げる。
「・・・・わかった。」
主導権を握られているのはいささか納得しかねるが、やむを得まい。
二人は走り出した。
(・・・・速い!)
現役忍者たる者、本来のスピードは『もっと』速い。だが、黒鋼が『全速力で』走ったら、お互いを見失う事になる。
だからかなりスピードを落とすつもりでいたのだが、『少し』落とすぐらいで済んでいるのだ。
かなり身軽で、足も速い。
(こいつが忍軍に入ったら、あっという間に格上に上がってきそうだな。)
そんな事すら、ふと思えたりもして。
僅かの時を費やしたのみで、二人は『この国をみそなわす場所』―――高台にある古城に到着した。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
じっと、街を見下ろす。。
夕焼けの中に暮れなずんでいく町並みは、何処か幻想的でもある。
「あそこだ。」
指差す先には――――教会の尖塔。
「ん?」
ちょうど夕日がその背後に来て――――。
「――――――――『姫の羽』か!!」
それは。
教会の屋根に隠れるように。
本来なら『鐘』のある所に、『それ』はあった。
だが、それ以上何も言わないのを見て、不審に思って訊ねてみる。
「・・・・取りに行かないのか?」
場所がわかっていて、『それ』を見ていて、動かない、のは。
(何か、あるな。)
勘が、そう教えている。ましてや、リアンほどの『術師』が、『動かない』。
その、『理由』は?
――――――目の前に、『羽』はあるのに?
―――――――――――――― * ―――――――――――――
「そろそろ食事時か。・・・街に『降り』よう。」
そう言って歩み始める、その背中は、何も語らない。
(『何』を見る?・・・そして『何』を知っている?)
謎だらけの、この人は。
そして。
心のどこかが。
騒ぐのは。
「こっちだ。」
迷う事無く歩む先には。
「へい、いらっしゃい!!」
威勢のいい声がかかる。黒鋼は目をぱちくりとさせた。
リアンが何事か交渉すると、合点して店員が個室らしい所に案内してくれた。
座卓に、座布団。思わず部屋を見渡す。
「へい、お待ち!」
何時の間に注文したのか、次々と運ばれてくる。
「・・・こりゃあ・・・・・。」
我知らず声に出た。
目の前に並んでいるのは、いわゆる『和食』だ。
「いただきます。」
と言う声がして。
目の前で『魔女』が手を合わせて礼をしていた。慌てて自分も手を合わせる。
ぱく、と魚を口に運ぶ。程よく焼かれた魚は、なかなか美味だ。
「・・・結構、いけるな・・・・。」
小鉢の和え物も口に合う。
というよりは。
『日本国』の食べ物に、それは限りなく近かった。
それは、とても、懐かしくて。
久しぶりに口に合う物を食べた気がする。
一緒に付けられた冷酒も、いい。
懐かしさすら覚える『食べ物』を胃に収めると、ゆっくりと酒を嗜む態勢に入った。
甘露とも思える冷酒を飲みながら、目の前の『魔女』を観察する。
(考えてみれば・・・・。)
こんなふうにじっくり『観察』したことは無かった。
というよりは、『じっくり観察する』こと自体が無い、と言ったほうが正しい。
いつもは『視界の隅』に捉える。
忍者は『一瞬で』全てを把握する事を要求される。今までもそうだったし、これからもそのつもりだ。
しかし。
この『魔女』は。
じっくり『観察』しても、表情が読めなくて。
それが妙に苛立たしさを感じさせるのだけれど。
髪の色が、とても深い『藍』―――『鉄紺色』だと初めて気づいた。
瞳の色が、『紫がかった蒼』―――『紺藍色』だと改めて認識した。
(ヘラいのよりも深い色だな。)
ファイの目の色は――――空の色。
『異国』の『魔術師』は同じ色をしているのかとも思ったが、そうではないらしい。
(あっちは『縹色』―――『藍玉』だが。)
だがこの目は。
(――――――『紅桔梗』よりも濃い・・・『黝簾石』・・・か。)
それは、夕暮れの空のような。
それは、深い海の底のような。
正座して。
背筋を正して。
その食べ方は、礼儀作法にかなっている。
箸使いも巧みだ。
見ていて、不快感を覚えない。
と言うよりは。
むしろ近寄り難さすら感じるのは気のせいか。
食べ終わって、きちんと手を合わせて一礼している。何処でそのような事を覚えたのだろうか。
(・・・・・・・・?)
『魔女』に興味を覚えている自分に気づく。一瞥しただけでは全く『掴めない』からだろうか。
『疑問』ばかりで、『確定』が無いのも腹立たしい限りだが。
「少し、良いかな?」
店の者を呼んで、一しきり片付けさせ、自分には茶を要求し――――冷酒も追加した上で。
地図を、広げた。
「これが『こちら側』の地図だと言う事はわかるか?」
地図を視線がたどる。地図上と、実際に歩いた状況が一致するので頷いた。
こうして改めて見てみると、きれいに放射状になっていて、道は円を描いて街を囲んでいる。
「基本的に、『向こう側』の地図は、こちらでは手に入らない。」
「どういうことだ?」
「必要ない、という所なのだろうが。」
そこで地図を半分に折る。
「『解る者が見たら解る』、と言う事だ。」
『地図』は、2枚に分かれた。『アヤカシの術』のように。
「・・・受付で、か。」
リアンが『地図』を手に入れたのは、ゲートをくぐる前の受付だった。あの時、『地図』を眺めながら歩いてきて。
確か、小狼に『地図』を渡した。
「小僧に渡したのは?」
答が何となく解るのだけれど。
「仕掛けは、同じだ。・・・あそこでしか『両方』の地図は手に入らぬのでな。」
やはり。
「ファイなら気づくだろう。・・・・と言うより、気づいてもらわねば困るがな。」
そう言いながら、『2枚』の地図を広げる。
「どうだ?」
何か気づくか、と。『魔力』に関わる事なら、専門外だが、それ以外なら。
じっと地図を見比べた。
「同じ形・・・になっているな。」
『向こう側』と『こちら側』では、『あの』教会を中心にする形で、『同じ』地図が展開していた。
ついでに言うなら、『左右対称』。
『教会』を貫く線を軸にして、建物などがまったく左右対称に配置されている。
だから。
『向こう側』にも『こちら側』にも、『同じ建物』が『2つずつ』存在している。
まるで、鏡に映したかのように。
だが。
微かな違和感を感じた。
「・・・少し・・・違う、か・・・・?」
『完全に』同一ではない。僅かに『ずれ』があるようだ――――素人目には解らないほどの。
それが何であるのかを。
地図を見ていた黒鋼は、微かに震えた。その身体に緊張が走る。
「・・・・おい。」
自分の中の仮説を打ち消そうとして。いや、しかし。
「・・・この街・・・『どちらか』が、『裏返しになって』いねぇか・・・・?」
初めて。
リアンの表情が『変わった』。
それは。
『満足』という色に彩られて。
「さすがだな。・・・その通りだ。」
その目は。
優しくて。
そして、冷徹な色をも湛えていた。
『魔女』の色を。
「この街は、『表裏一体』になっている――――『向こう側』と『こちら側』とが、な。」
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