ご 注 意




この『第5章ー1』以降、原作とは完全といっていいほど乖離したパラレルとなります。
場合によっては、貴方の許容範囲を超える可能性もあります。
そのような恐れを危惧される場合は、以降の閲覧をおやめになる事をお勧めいたします。

もしそれでも良い、付き合ってやろう、というお心の広いお方は、
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    蒼 き 氷 と 銀 の 竜

なおも。
信じる事が出来ないのは。
自分たちが、『何を』聞いたのかを。
叩きつけられた、『真実』を。




――――――――――――――――――― * ――――――――――――――――――



「ソエル。侑子に連絡を。」
七日七晩眠り続けたその人は、青白い顔のまま階下に降りてきて。
気遣いの声をかけたサクラを制して、モコナに『命じた』。
「え・・・・?あ・・・・・うん・・・・。」
気圧けおされて。
モコナは額の光を煌かせた。


『 モコナ?どうかして? 』


予感していなかったのだろう。侑子―――『次元の魔女』は驚いたような声を上げた。
「ん・・・・リアンがね・・・・。」
言いかけたモコナを、つい、と手で制する。
モコナははっとして口をつぐんだ。
『次元の魔女』の視線が険しくなる。

『 あまりいい話じゃ無さそうねえ? 』

「商談だ。」
簡単な言葉に、感情が無い。
――――――――いや。
ある。
それは――――――『凄み』。

「欲しい物が4つある。対価は、『今まで貴女に付けさせてあげたツケ』の全て。」
『 ・・・ちょっとお待ちなさいな。 』

光の向こう、画面には映らない所から声がする。
『 いっつも「明朗会計・即金払い」って言ってるくせに、自分は「ツケ」なんすかぁ――――?! 』
『 そこ!やっかましい!! 』

ビシィッ!と指を指して。見返して来る視線が『据わっている』。

『 ・・・・その「ツケ」が、どのくらいあるか、解って言ってるんでしょうね? 』
「当然。」
『 ・・・・・・・。 』

『魔女』の凄みは。
完全に『時の魔女』が勝っている。

『 ・・・・何が、欲しいの。 』

それのいらえに、如何なる逡巡も見えず。
「まずは、情報。」
『 情報? 』
「『あの男』は、何処に居る?」
『 ・・・・何故、『訊く』の?調べれば――――――。 』
「時が、無い。」
それは、一切の『質問』を許さぬ、と。『次元の魔女』はため息をついた。

『 「ここ」よ。 』

その掌に浮かばせた、光。
それをじっと見て。
「・・・・『そこ』か。」
『 えぇ、「ここ」よ。・・・・・これで1つ目はクリアなのかしら? 』
頷いて。
「では、残り3つを用意してもらおう。」


『何か』を感じたのは。
これから起こる事への――――――予感?
『時の魔女』が『次元の魔女』に『命じた』のは。


「私が欲しいのは3つ。・・・ファイ=D=フローライトの『刺青』と『魔法杖』、それと・・・黒鋼の『銀竜』。」




――――――――――――――――――― * ――――――――――――――――――



「・・・・な・・・・・・?!」
「何だと・・・・・?」
その声は、同時に。
予期せぬ言葉への驚愕と――――――。
――――――何故か、怒り、と。
しかも。
同時に差し出した『もう1つの対価』――――小狼の、『サクラと自分との関係性』は入っていない。
黒鋼とファイに視線を滑らせながら、『次元の魔女』は口調を険しくした。

『 「他人が対価として差し出したもの」を「横から」手に入れるには、「最初より高い対価」が必要なのよ? 』
「『ツケ』では足りないのか。」
『 ・・・・いいえ。 』

『次元の魔女』は額に手を当てた。

『 悔しいけど、「それだけの物を渡して」も、まだお釣りが必要よ。 』

またしても画面の向こうで『一体いくらツケてるんすかーっ?!』という叫びが聞こえたが。
『次元の魔女』は、今度はツッコミを入れなかった。
代わりに。

『 悪いけど、「理由」を教えてもらいたいわねぇ?・・・後ろの2人も、きっとそうだろうし。 』

後ろの2人には、目もくれず。
リアンは変わらぬ口調で言葉を継いだ。

「『自分で決めた道を進む』為に、後顧の憂いを絶っておきたいだけだ。」
『 そのために、刺青や銀竜が必要なの? 』
「そうだ。」
交錯する視線。
『次元の魔女』は、観念したように目を閉じた。

『 四月一日、マル、モロ。「蔵」へ行って取ってきて。 』

パタパタと去っていく足音が聞こえる。
それを聞きながら。
『次元の魔女』は深い深いため息をついた。


『 ・・・・貴女、何をするつもりなの? 』


「『自分で決めた事をやる』。」
『 だから、「それ」は「何」? 』


目の前に立つ『その人』が。
『真の意味』において、『魔女』なのだと。
皆は思い知らされた。
―――――――その、『身に纏う闇の気配』によって。


「私は、『私が為した事』の決着をつける。ただそれだけだ。」
『 ・・・それは、「選んだ事」と関係有るのかしら? 』
「・・・・あの時、『選ばなければ』、多少は変わっていたかもしれないな。――――『未来』、は。」


『次元の魔女』は首を振った。
『 例えそうであったとしても、この「未来」は「必然」だったと思うわよ。 』
「『必然』か。」
その口元に浮かんだ『笑み』が、『自嘲』と見えるのは。
「『必然』―――――その言葉、好きなのだな。クロウも―――――そして、『お前』、も。」


『次元の魔女』の『呼称』が、変わった。
『お前』、と。
それは。


『時の魔女』が、『次元の魔女』よりも『高み』に移った、という事。
それは―――――――――『訣別』。


『 この世に「偶然」なんて無いわ。全て「必然」よ。 』
「だとしたら。」
その目に宿るのは。


「『私自身がこの世に存在した』事自体が、『諸悪の根源となる必然』だったのだろうな。」


何かを言おうとして。
それは、『蔵』から戻ってきた足音に遮られた。
『 侑子さん、持って来ました。 』
『 ありがとう。そこに置いて頂戴。 』
あきらめたような、疲れたような。
『置かれたもの』を見遣りながら、『次元の魔女』は躊躇った。


『これ』を渡してしまって、本当にいいのだろうか?
『自分』は『後悔』しないだろうか?


「『お前の進む道』は、『私の進む道』とは違う。躊躇う必要は無い。」
光の中の逡巡を見て取って、氷のような言葉が降る。
だが、そこに。
微かに。
労りを感じたのは―――――――。


『 モコナ、これ、送って頂戴。 』
「こうやって通信をしていると、『ラーグ』と会話をする事は出来ないな。・・・一度は話をしてみたかったものだ。」
言外に。
『これで最後』なのだと。
『次元の魔女』の顔が、こんな風に歪むとは、皆には予想すら出来なかった。
何時も自信と余裕に満ち満ちていた、『次元の魔女』が。
『自分より遙か上を行く』存在によって、全てを覆されていく。
一瞬、穏やかな面差しがよぎった気がした。
自分を認め、共に時を歩み、一人離れていってしまった―――――不世出の魔術師ウィザードの。


モコナ―――――ソエルの口から、『対価』が弾き出された。
「・・・・・・・・。」
それは―――――――『懐かしい』モノたち。
『対価』として差し出し、二度と会いまみえぬやも知れぬとさえ思っていた『モノ』たち。
「ソエル、ご苦労だった。」
それだけ言って、背を向けた。
モコナは長い耳をシュン、としおれさせた。
それでも、光を収めない―――――『次元の魔女』は、険しい視線のまま、事の推移を見守るつもりのようだ。


「では、『お前たち』には、これを受け取ってもらう。」
「・・・・受け取れねぇな。」
「説明もなしに『受け取る』ワケには行きませんねぇ・・・。」
黒鋼とファイの言い分は、もっともだ。
『自力』で取り戻すつもりの物を、横から『勝手に』手に入れて、『受け取れ』とは。
「・・・『何様』のつもりだよ・・・・。」
自分たちよりも『上』を行く存在なのはわかっている。
だからといって。
『恵んでもらう』筋合いはない。
「私が『自分で決めた事』を為す為には、『お前たちにはお前たちで身を守ってもらわねばならない』のだ。」
「・・・そのためには『銀竜』が必要だってのか?」
その手にした『蒼氷』をグイ、と前に差し出して。
「この『蒼氷』は『いい』刀だ。『銀竜』に勝るとも劣らねぇ。」
「『銀竜』でないと、駄目なのだ。」
「何故だ?!」
「・・・・それは、何時の日かわかるだろう。」
「それじゃあ『返事』になっていねぇ。」
苛立たしい。
この感情を抑えきれない。
『裏切られた』、という思いが。


「お前たちが『受け取った』なら、『真実』を話そう。」
「それじゃあ本末転倒じゃねぇか!」
「・・・・受け取ったら。」
ファイの声が、低く、地を這うように響いた。
「・・・『話して』もらえるんですね・・・・?」
約定やくじょうたがえぬ。」
「・・・・・・・。」
氷の如き双眸は。
夕闇を射抜かんとしたが、それは叶わず。
ため息を1つ、ついた。
「『無料ただ』じゃあ、貰えないんですけどー?」
「それは『道理』だな。・・・では、『対価』を貰おう。『私の命令への服従』。これが『対価』だ。」
「・・・・うわー・・・・。」
とんでもない『対価』を要求されたものだ。
だが。
「・・・しょうがないですねー・・・・。」
呟きと共に。
『刺青』はファイの背中に消え、『魔法杖』はその手に収まった。
「お帰りー・・・。」
なんとも情けない声を出して呟く。
それを見届けて。
リアンは黒鋼に向き直った。
「お前の対価は、ファイと同じだが、もう1つ。・・・その『蒼氷』も貰う。」
「・・・何?!」
「『長剣』を2本も持つことは出来まい。ちょうど業物わざものが欲しかった所だ。『蒼氷』ならば申し分ない。」
「・・・・・。」
秤にかけろと言うのか。
『銀竜』と『蒼氷』を。
自分の中での重さは、解りきってはいるが。
『蒼氷』は。
『桜都国』で手に入れて以来、ずっと傍にあった『刀』だ。
いわば『苦楽を共にしてきた盟友』。
今の自分にとっては―――――『最も価値あるもの』かもしれない。
「・・・絶対に、『傷めんじゃねぇ』ぞ・・・・・。」
射抜くような眼光と共に、『蒼氷』を差し出した。
かつて、『次元の魔女』に『銀竜』を差し出した時のように。
静かに『蒼氷』を受け取る。
入れ替わるように、『銀竜』は黒鋼の前にやってきた。
「・・・・『銀竜』・・・・。」
複雑な表情のまま。
黒鋼は『銀竜』を手にした。


「さあ・・・話してもらおうか・・・・。」
「いいだろう。」
少し、小首を傾げて。
その目を閉じて。
その『口』から紡ぎだされた『言の葉』は。


誰や知る。
吟遊詩人、かく語りきと。
その『謂れ』の『真実』を。
―――――――『時の重さ』、を。


かつて『魔道宮』といわれた国があった。
その国に、3千年に一度、類稀なる魔力を持つ『翼を統べる者』が現れるという言い伝えがあった。
ある時、その『翼を統べる者』が現れた。
王はその者の力を贄として、『魔界』と契約を結んだ。
そのときから『魔道宮』は『魔界』の『出城』となり、『闇の魔王』は、この世界に干渉をし始めた。
『魔道宮』は、その力を維持するために『魔界』の結界の中に封印された。
そして『翼を統べる者』を『依り代』として、『時の魔女』がこの世界に現れた。



「『翼を統べる者』・・・・・。」
それは、『時の魔女』の『依り代』。
つまり――――――。
―――――――目の前の。


『闇の魔王』は他にも『契約者』を得た。
己の欲望、叶うべくも無い望みを持つ者はいくらでもいた。
やがて1つの国を新たなる『出城』として確保した。
その『国』は、世襲制にあらず、『チカラ』を持つ者が次の『王』となる。
その国の『名』は―――――――『セレス』。



皆は、呆然として。
ぎこちなく、その人を見た。
『その国』に帰る事を拒んだ、白き魔術師ウィザードを。


その一方で、『時の魔女』は、偶然にせよ、2人の弟子を得た。
2人とも傑出した魔力を持っていた。
故に『魔女』は、己の持つ『チカラ』を伝えようとし、そのうちの1人を指名した。
いま1人は、その資質に欠けると判断した。
しかし、『選ばれた弟子』は、残念ながら期待に副う事はなかった。
その『チカラ』のあまりの大きさと、己の『願い』を叶える物ではなかった事を知り、彼はその『チカラ』を手放すことを望んだ。
そして『玖楼国』の『遺跡の地下』にその『チカラ』を封印した。
『玖楼国』は、異世界の『魂を同じくする者』が統べる国。
その血脈に『真の継承者』が現れる事を予見さきみして。

『選ばれた弟子』の名は、『クロウ=リード』。
そしてその『真の継承者』は現れた。
その名は―――――――――『サクラ』。



サクラは、夢を見ている気持ちになった。
自分が?
『チカラ』の『継承者』?


『選ばれなかった弟子』は、そのことを怨み、その『チカラ』を我が物にせんと欲した。
ただ1つの『願い』を叶えたいと思うが故に。
その『チカラ』は、『彼』の『願い』を叶える物ではないのに。
その『チカラ』を『サクラ』と共に、真に発動させる力を持つのは、『彼』ではなく、『彼の息子』。
しかし、その『息子』は、『真の発動者』に相応しからざる『モノ』をも持っていた。
その『モノ』は、『彼』をも滅ぼしかねないものだった。
故に『彼』は、『本来持っていなければならない資質』を『息子』から切り離し、『必然の運命』と共に放逐した。
『切り離された資質』を持つ、『鏡の虚像』を。
『鏡の虚像』が『サクラ』の元に赴くように。
『彼』の手元に、その『チカラ』ごと引き寄せるために。
だから、『鏡の虚像』には過去の記憶が無い。
そう、それが――――――『小狼』、お前自身。
そしてお前に取って代わろうと――――お前を再び取り込もうとしているのが、『シャオラン』―――彼の、『息子』。



切り離された『資質』。
鏡の虚像。
『選ばれなかった弟子』の―――――『息子』。
(そうだ・・・・。)
思い出した。
『シャオラン』には。
『彼』の服には。
――――――――『蝙蝠の模様』があったのを。


その欲望ゆえに、『彼』は『闇の魔王』の声を聞くモノとなった。
『彼』は『次元を渡れない』。
その『チカラ』は『彼』をより『危険な者』にすると見て、『私』が封印した。
それ故に、『彼』は次元の彼方の者に援助を求めた―――――もちろん、『闇の魔王』に関わる者達に。
『とある国』に攻め入るために。
その求めに応じ、『セレスの王』は、『彼』に力を貸した。
『次元を切り裂き、干渉するチカラ』を与えたのだ。
そしてその『次なる王』である所の『闇の御子みこ』に、『魔物』を送り込ませた。
―――――――結果。
『魔物』はその国の『領主』を『食い殺し』、
『彼』は『結界を張った巫女』をその手にかけた。



「・・・・ちょっと、待て・・・・。」
黒鋼は、自分の声が震えるのを止められなかった。
『食い殺された』―――『領主』。
『次元を切り裂いて手にかけられた』―――『巫女』。


それは。


その国の『名』は―――――――『諏倭』。
そう、黒鋼、お前の―――――『故郷』、だ。
『諏倭』にあった、『ある物』を手に入れるために。
『彼』は己の手を血に染めた。
お前の両親と、国ひとつ、滅ぼして。



魂消たまぎる悲鳴が響いた。
振り返った皆の眼に、映ったのは。


――――――頭を抱えて座り込んだ白き魔術師ウィザード


残念だが。
『知らなかった』では、もう済まされまい。
『お前』は知ってしまったのだから。
そう。
そのあるじたる『王』を封印した、セレスの『王位継承者』。
『次なる王』―――――『闇の御子みこ』の二つ名を持つ魔術師ウィザードよ。
『あの時』お前が放った魔物は、『諏倭』に送られたのだ。
『諏倭』を滅ぼすために。
あの『チカラ』を手に入れるために。



「ウソだ・・・・・絶対、ウソだ・・・・あの時・・・・アシュラ王は・・・。」
ファイの唇から震える声が洩れ出てくる。
「あの時『王』は言った!・・・『まつろわぬ国に制裁を与えるのだ』と!!」
おびえたような目で。
ファイは黒鋼を見上げた。
かけるべき言葉を見つけられない紅玉の視線と絡み合う。
「その『まつろわぬ国』が・・・・『諏倭』――――黒たんの『故郷』だったなんて・・・・!!」


『彼』の望みどおりにならない『国』は、『まつろわぬ国』だ。
『諏倭』は、その『チカラ』を『彼』に渡す事を拒んだ。
その『チカラ』の名は、『龍玉』。
その持ちたる力は、『如何なる結界シールドをも砕くチカラ』。
『遺跡の地下』に封印された『チカラ』には、強固なシールドがかけられていたから。
だから『彼』はその『チカラ』を得ようとしたのだ。
数多の血を流し、国1つ滅ぼしてでも。

だが、『龍玉』は魔手を逃れ、潜伏した。
そして。
『自らの遣い手』を『選び』、ずっと見つめ―――――――その『力量』を『認めた』。
真に『心技体』共に優れ、己を遣うに足る者と。
そして、『選ばれた』のは、諏倭の血脈に連なり、『銀竜』を手にする者――――黒鋼、お前だ。



「俺が・・・・?」
『選ばれた』?
『龍玉』に?
―――――――――その『為』に、『銀竜』が『必要』なのか?


いずれの時にか、『日本国』に帰った時。
『諏倭』を訪れよ。
『龍玉』はお前の下に来る。
そして『銀竜』にその『チカラ』を与えよ。
『銀竜』と『龍玉』の『チカラ』が1つになった時、『龍玉』の力はお前のものになる。
その『チカラ』は――――『諏倭』を解き放つ。



その言葉の『意味』を。
知っているのは―――――黒鋼、だけ。


『シールド』は、本来なら『サクラ』が20歳になった時、自動的に解除され、『チカラ』を伝えるはずだった。
しかし、『彼』の干渉により、『時』至らぬまま、『サクラ』は『チカラ』と接触し、逆に取り込まれそうになった。
それはとても『危険』な事。
幸いにして、小狼がそれを防ぐ形になった。
『遺跡の紋章』から『サクラ』を引き剥がしたおかげで、最悪の事態は免れた。
だが、その代わりに『キオクの羽』が飛び散り、お前達は『旅』をしなければならなくなった。

遺跡の地下に封印された『チカラ』の『真の継承者・サクラ』。
『サクラ』と共に『チカラ』を発動させる、『資質を持った運命の人・小狼』。
『彼』が手に入れられなかった『龍玉』に選ばれた『諏倭の若・黒鋼』。
すべての『破滅』と、絶対の『必然』を綾なす『時』を紡いだ、『闇の御子みこ・ファイ』。
『あの時』、『次元の魔女』の元で会したのは、その言葉を借りるならば、まさに『必然のデアイ』だったのだ。

いつの日か、お前たちの旅は終わるだろう。
それぞれの世界で、それぞれの道を歩むがいい。
これ以上の『干渉』は、『この私』が、もう『させない』。


『 ・・・・貴女は、何をするつもりなの? 』
『自分』も知らなかった事を語られて。
『次元の魔女』は疲れた声で問うた。
その顔が、驚愕に満ちる。
光の中の、『次元の魔女』を見る、『時の魔女』の顔は。


何時だったか、黒鋼が見た、あの表情かお


優しさに満ちて。
そして今は、そこに『哀しみ』をも湛えて。


「『不肖の弟子』―――『飛王=リード』に、『己のした事への対価』を払わせるのだよ。『師』であるこの『私』の手で、な。」




――――――――――――――――――― * ――――――――――――――――――




「・・・では、『命令』だ。この『宿』の賃貸期限は今日の正午。それまでに退去し、次元移動する事。・・・以上だ。」
『魔女』が部屋を――――『宿』を出た後も。
皆は動く事も出来なかった。


突きつけられた、『真実』。
思いもしなかった、『必然』。


「・・・・・。」
無言で。
ファイは、部屋を出た。
そして。
もう一度現れた時、ファイは『セレスの服』を身に纏っていた。
「ファイさん・・・・・。」
小狼の声は、複雑な色を含んでいる。
ファイはへにゃり、と笑った。
「ごめんねぇー・・・・。オレ、行くよ・・・・。」
その声は、力無く。
「サクラちゃん。」
サクラの前に立って、白き魔術師ウィザードは微笑んだ。
「オレね・・・すごく楽しかったよ・・・・。」
「・・・ファイさん・・・・。」
「『逃げなきゃいけない事』を忘れるくらい、ホント、楽しかったんだ・・・・。」
それは、掛け値なしの、本音。
「オレ、兄弟居ないから、妹がいたら、きっとこんなんだろうなーって・・・。」
そっと、その髪に唇を寄せた。
「・・・ありがとう・・・・・。」
次に、小狼に向かって。
「一杯『教えて』くれて、ありがとう。」
「え・・・?俺は、何も・・・・・。」
「ううん。」
首を振って。
「小狼君が、『やると決めた事をやる』っていうスタンスを貫いてるの、信じられなかったんだ。・・・でも。」
その頭を、そっと抱き締めて。
「オレもきっと『変わった』よ・・・・オレも、『やると決めた事をやる』。」
何を、という言葉は、出なかった。
小狼の視界が歪む。
「モコナも今までありがとうねー・・・。これからはサクラちゃん達の事、頼んだよー?」
「・・・ファイー・・・・。」
ポフ、と頭を撫でて。
ファイは黒鋼の前に立った。
「・・・・・。」
お互いに、無言だ。
ファイは、万感の想いを込めて言葉を紡いだ。
「・・・何を言っても『言い訳』だって事は解ってるんだけど・・・・・でも、これだけは信じてほしいんだ・・・・。」
こんなに泣きそうな顔を見るのは、初めてだった。黒鋼の眉間の皺が深くなる。
「・・オレ・・・・自分が『魔物』を送った先が、黒たんの『故郷』だなんて・・・知らなかったんだよ・・・・・。」
顔を伏せて。ファイは小さく呟いた。
「・・・・・今まで、ありがとう・・・・そして・・・ごめんなさい・・・・・。」


ファイは静かに『宿』を後にした。


――――――『自分でやると決めた事をやる』為に。




第4章ー4に戻ります 第5章ー2へ 『時の翼』目次へ




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


あ゛――――――――――――――っ もうっ!!!!


書いててこんなに自分が嫌になった事ってないです。
こんな『必然』誰も望んでねぇよーっ!!(自分で自分に絶叫)


でもね。
『自分のした事』には、きっちり決着をつけんとイカンのですわ。


・・・・ところで、ですね・・・・。
今入ってきた情報によりますと、原作(「xxxHoLic」)で、侑子さん、シャオランを小狼の所に送ったらしいんですが、
あの服の模様の事・・・・黒鋼いくらなんでも気付きますよね?
思いっきり『今日』書いた所とかぶるように思うんですけど・・・・・?( ̄□ ̄;)!!
私、まだヤングマガジン見てないんですが・・・・・。
もしかして『予知能力』あったりして?!(無い無い^^;)


てなわけで(?)『腹ぁ括って』UPしました。


裏話、小ネタはこちらから。

               作者・シュウ    2006.05.15UP

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