< 和 風 な 3 0 の お 題 >

  「 蝸 ( か た つ む り ) 」

それは、とっても小さくて。
よくよく見ないと見落とすのは当たり前であるほどに。
でもサクラは、『それ』に目を留めた。
雨の降る、ある日の午後。
濡れそぼれた葉の上で。
小さな、小さな。
かたつむりを。


まだ卵から孵って、あまり経っていないのだろう。
それは本当に小さかった。
それでも形はちゃんと『カタツムリ』で。
糸のような目が2本、ちょん、と立っている。
それだけなら、『赤ちゃんのかたつむりだね。』で終わっただろうけど。
それは『違って』いた。
そう。


そのかたつむりの殻は、
『透明』、だった。


いわゆる突然変異。
アルビノ、なのだろう。
その巻いている渦の模様もかなり薄い。
ただ、それだけなのに。
サクラは胸が締め付けられるような気がした。


そのかたつむりは、他の仲間とは違う『葉』の上にいたから。


一人ぼっち。
仲間はずれ。
そんな言葉が頭に浮かぶ。
そうかもしれない。
そうでないかもしれない。
でも現実に。
このかたつむりは、独り。


そして、あの女性ひとも。


「『人』に対する感情は、時の彼方に置いてきた。」


次元の魔女さんに。
この女性ひとはどんな想いで告げたのだろう。
何もかも失った絶望と。
ただ独り、時の流れに取り残された哀しみと。
そして誰にも、それは理解してもらえない。
『時を永遠に渡り続ける』なんて事は、誰にも出来ないから・・・。


私だったら。
桃矢兄様や、雪兎さんや。
ファイさんや、黒鋼さんや。
モコちゃんや、・・・・小狼君に。
『忘れられてしまう』のは。『自分だけが覚えている』のは。
きっと、耐えられない。


「サクラ姫。」
呼びかけられて。
振り向けば、何の感情も宿さない瞳が見下ろしている。
この女性ひとは。
心の全てを封印して。
何もかもを、その不思議な色の瞳の中に内包して。

皆の事は呼び捨てだけど。
『小狼』
『黒鋼』
『ファイ』
『ソエル』
と。
でも私にだけ、『サクラ姫』、と称号付きで呼んでくれる。
別格扱い?
それがどこか嬉しいのは、何故?

「何か御用ですか?リアンさん?」
「雨が吹き込んでる。・・・風邪を引く。」
そう言って窓を閉める。
わかる。
たとえ、他の誰がわからなくても、私には。


この女性ひとは、『優しい』女性ひと

『外伝』兼『お題』、『蝸(かたつむり)』です。
サクラ視点の分です。
サクラにとって、リアンはかなり変わった存在だと思うのですね。
そして、リアンにとって、サクラは、また稀少な存在です。
『人』を疑う事を知らない彼女があって、初めて認識してもらえるような。
ある意味、持ちつ持たれつ的なところがあるかと思います。
これ以降、サクラとの関わりをも書いてはいきますが・・・。
今はサクラサイドばかりでもいいかな、と。
ちょっとシャレにならない部分もあるもんですから(苦笑)

サクラの持つ、天性の才能。
『人を変えるチカラ』。
これは後々まで大きく関わってきます。
これがあるから、『世界』が変わる。
とても重要なキーアイテム(笑)です。


周りの人には『変わって欲しい』。
サクラには、『変わらずにいて欲しい』。
そう思ってます。(ワガママ?^^;)

           作者・シュウ   2006.04.15UP

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