Chapitre131より




「サクラ姫は『外』に行ったわ。」


次元の魔女の言葉に、魔術師はその目を見開いた。
何で。
何でサクラちゃんが。
何で『外』に?!


・・・・なんで『行かせた』の?!
危険だって解ってるのに!!
それも、どうやら『1人』。


「何を考えてるんだよ・・・・・黒・・・『黒鋼』は!!」


毛布を弾き飛ばして。
戸外に出た黒鋼の方へ駆け出した。


黒鋼は、『小狼』と共にいた。
駆け寄ろうとして。
――――――――その足が止まった。


風に乗って、声が伝わってくる。


「・・・お前はこれからどうするんだ?」
「『彼』を探します。」
見事までの即答に、今まで共にいた『彼』の面影を見る。
そう、『彼ら』は。
『同じ』で。
そして、『違う』存在なのだ――――――。
「・・・見つけて、どうする。」
「決着をつけます。」
「・・・元居た世界には戻らねぇのか。」
「『全て』が終わって、まだ『命』があったら、戻ります。」
「・・・・そうか。」
『彼』が支払った『対価』の重さは、自分たちとは比べ物にならないほど重いのだと。
知れば、後に言葉はない。
「・・・・貴方の事、どうお呼びすればいいですか?」
それは、これからもなお旅を共にする、と。
「・・・・『小僧』と同じでいい。」
「解りました。」
「俺も『同じ』でいいか?」
「・・・・構いません。」
そこに、『彼』の影が見え隠れする。
だがむしろ、『忘れない』為にはいいのかもしれない――――――。


「・・・・無事だといいですが。」
それは、サクラの事、と。
「『無事』ではすまないだろう。・・・だが、これを決めたのは『姫』自身だ。俺たちがどうこう口出しできる事じゃあねぇ。」


自分で決めたことを。
為すと決めたことを。


「魔術師は、これからも・・・・?」
「あぁ。『餌』が要るからな。」
『小狼』の眉がスッと顰められた。
「余計な口出しでしょうけど・・・・その物言い、『彼』の前ではしないほうがいいと。」
「俺は『餌』だ。」
天を仰ぐその横顔に、感情が見えない。
「憎まれようが怨まれようが、そんなこたぁどうだっていい。はなっから覚悟の上だ。」
「・・・・・・・。」
「俺の『目の前』で、もう『誰も死なせねぇ』。・・・ただ、それだけだ。」
『護れなかった』自分に、もう『戻りたくはない』。
『小狼』は、そっと黒鋼の背に手をやった。
「治療しろって言われたじゃないですか。」
「姫が戻るまでは、待つ。・・・姫にはきっと『薬』が必要だ。」
『治療のための品』が不足しているこの『東京』では、『薬』は貴重品。
おそらくは傷ついて戻ってくるであろうサクラの治療に『薬』が無かったなら――――――――。
そして、それが、『自分のために使った』せいだとしたら。
(・・・優しいのだな、やはり、この人は。)
『もう1人の自分』を通して見てきた、その事実に偽りはない。
「ヘライのにも、内緒だぞ。」
その傷が小狼が奪った魔力によるファイの魔法のせいであり、ファイを庇ったせいであるという事を。
「・・・わかっています。」
『小狼』は、微かな微笑みをその口元に浮かべた。


柱の影で。
顔を覆った白き魔術師は。
身体の奥底から迸り出る嗚咽をこらえる事が出来ないで居た。


「・・・皆・・・・・・バカだよ・・・・・・・。」


傷つき果てた砂漠の姫の帰還まで、あと数時間――――――――。




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突発妄想全開で書いた物。
これで予想した、『黒鋼が治療しない理由』が思いっきり当たってしまって、
笑うに笑えなかった・・・というオチがあります。

CLAMP先生方と思考回路が似通ってるのか、とマジで悩む今日この頃。^^;



           作者・シュウ   2006.09.29UP




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