「 願 い 人 」




『雪』が無いのはありがたい。
それでも土中の水分が凍っているのだろうか。
歩くと何処かシャリシャリと音がする。
一歩、また一歩。
「姫、大丈夫ですか?」
小狼が振り向いて訊ねる。
「・・・大丈夫。」
返事が遅れたのは、呼吸を整えたから。
山登りは結構辛いはずだ。
小狼を先頭に、サクラ、ファイ、黒鋼の順で歩いている。
「もうすぐ『道』がなくなります。」
「あとは地図が頼りだな。・・・といっても、それなりに『道』はあるようだが。」
暗闇の中で、夜目の利く忍者は微かに獣道らしき所を見ている。
それは人が歩くのか、それとも獣か。
いずれにしても、『道』にはかわりない。




―――――――――――――― * ―――――――――――――


この国には、伝説があった。


  『一年の最初の日、霊峰の上に光満ち。
   大いなるチカラが舞い降りる。
   金色に輝く神の御使いと共に。』


一年の最初の日に。
「光満ちるっていうのは?」
「『初日の出』ってことじゃあねぇのか?」
「『大いなるチカラ』って、サクラちゃんの『羽』ッぽいよねえ〜〜〜。」
「『神の御使い』・・・『誰』なんでしょう??」


考えた所で詮無き事。
ここは行動あるのみ、と。
野宿の用意と防寒対策をした上で、皆は山登りを始めた。
何があるか解らないから、黒鋼が殿しんがりに立つ。
小狼が地図を片手に先頭に立った。


「なんで『言い伝え』であって、『誰も上ってこない』のかがよくわかったねえ・・・・。」


あの伝説には続きがあって。
『そのチカラを手にしたものは如何なる願いをもかなえることが出来る。』とあった。
それなのに、『誰も』霊峰を目指さないのは。
「いや実際、沢山いたな。」
半ば呆れて、そして飽きて。
『蒼氷』の錆になった魔物は一体どれほどいただろうか。
確かに『普通の』人間ではあっという間に餌食になっていただろう。
しかし。
彼は『忍者』であり。
数多の魔物とも戦いを経験してきており。
そして、『勝って』きた者。
その『仲間』達もまた。
いわば歴戦のツワモノぞろい、といったところなのだ――――――――。
魔物達にとっては、『相手が悪かった』という所だろう。


「そろそろ頂上です。」


小狼の声が現実に引き戻す。
たどり着いた『頂上』は、さほど広くもない空間だった。
まともに立てる面積は、畳に換算すれば3畳くらいか。
夜明けまで、1時間を切っていた。
「まあお茶でも飲もうか〜〜。」
火を熾し、高所用に圧力をかけられるポットで湯を沸かす。
温かい紅茶は、五臓六腑に染み渡る。
「酒がありゃな。」
「贅沢言わないのー。」
やがて。
彼方の地平線に。
曙の女神が時を告げ始めた――――――――。


「――――――――初日の出だ!」


小狼の声。
太陽はゆっくりと地平線を割ってその姿を現し始めた。
その最初の光が届いた時!!


「めきょっ!!」


モコナが反応した。
「サクラの羽だ!!」
「どこ?!」
「・・・あそこ!!」
指差した先は、稜線上、若干ずれた位置にあった空洞。
「さっき通った時には何も感じなかったのに!!」
「きっと朝日を受けて反応が外に漏れるようになっているんだねぇ。」
おそらくそれは、1月1日の太陽の角度にのみ反応するのだろう。
誰が作ったのか、それとも自然の成せる奇蹟か。
ファイは他に何も仕掛けがないことを確かめて、羽をゆっくりと取り出した。
「羽、ゲットだよー♪」


折りしも上り来る太陽を背にする形になって。
立ち上がったその人は。


「『金色に輝く神の御使い』・・・・・・。」


その金糸に日の光を弾き。
さながら後光を戴くかのような。
神々しい、という言葉は、この人の為にこそあるのだと。
そしてそれと同時に、この人の『人外の気配』をも感じさせて。


皆の驚愕の原因を知ってか知らずか。
氷雪の魔術師ウィザードは、ゆっくりと微笑みを浮かべた。



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またしてもチャットでネタをいただきました。
最初は、『ファイの金髪はどれくらいの色か?』から始まったような。
一口に金髪といっても、ブロンドに近いのから白金に近いのまでありますし。
一致した意見は、『かなり薄い色の金髪』でした。
後光が射している!というツッコミが同時にあったような。(笑)
ありがたいネタなので(爆)新年に持ってきました。


そんなこんなで、今年も他人の褌で相撲を取るとは思いますが。^^;
どうぞ今年もよろしくお願いいたします。


           作者・シュウ   2007.01.01UP


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