「 Milkphobia 」




「・・・・・・え?」
あまりにも予想外の事とて、その目を丸くして。
「・・・『嫌い』なのか・・・・?」
「あぁ、『嫌い』だ。」


ちょうど部屋に入ってこようとした小狼は、思わず全身に緊張が走るのを覚えた。
(え?黒鋼さん、『嫌い』って・・・?)
黒鋼がリアンのことを憎からず想っている事は、さすがの小狼にも解る。
それがいわゆる『男女の愛情』に属するかどうかまでは、疑問の余地もあるのだが。
それにしても、こうもはっきり『嫌い』とは?!
(俺、絶対、この部屋に入っちゃ駄目だよな・・・・・。)
修羅場に巻き込まれるのだけは、なんとしても。


「どうしたの?小狼君?」


唐突にかけられた声に、小狼はそれこそ20cmは飛び上がった。
「ひ・・・姫?!」
「どうしたの?お茶の時間よ?」
「・・・あー!!だめです!だめ・・・・・!」
止める間もあらばこそ。
サクラはリビングのドアを開けてから、『え?』という顔を小狼に向ける。
「どうして?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・!!」
もう遅い。
きっと中の空気は氷点下以下、いや絶対零度・・・・・。


「もうお茶の時間だったか?」
「はい。今日は何にしましょうか?」
「昨日ファイが買ってきたハーブティーを淹れようかな。」
「手伝います!」
さっさとキッチンに入っていくサクラを呆然と見送る。
「どうした?小僧?」
声の主は、いつもと変わらぬ平静さで。
「・・・あ・・・・いえ・・・・・・。」
ちょこん、と席について、そっと件の二人を見遣る。
(・・・・・ケンカしてるようには見えない・・・・?)


心地よい香りが漂って。
馥郁たるハーブティーの香りに満たされて。
心なしかほっとした時。


「『これ』なら飲めるか?」


黒鋼の前に、コトン、と置かれたコップには。
(・・・『牛乳』・・・・・?)
しかめっ面をして。
匂いをかいだり、少し口に含んでみたり。
「・・・・・まぁ、『これ』なら、何とか。」
「ん。」
コップをすい、と退くのを見て。
小狼は思わず声をかけた。
「あ・・あの!!」
「?」
「一体・・・・何が・・・・・?」
「・・・・『これ』の事か?」
コップを軽く揺らす。
「・・・・はい。」
「これは『豆乳』だよ。」
「『豆乳』・・・・?『大豆』から作る?」
「そう。」
ちょっと面白そうな目の光。
「いや、黒鋼が『牛乳は嫌い』だといったのでな・・・『豆乳』ならどうかと思って。」
「・・・・は?」
きょとん、としたまま黒鋼を見る。
「黒鋼さん・・・・『牛乳』嫌いなんですか?」
「・・・・悪かったな。」
憮然としたその表情が何処かおかしくて。
「ま、これで今夜の夕食は『豆乳鍋』に決まったという事で。」
「『飛鳥鍋』は嫌いだ。」
「だ、そうだ。」
豆乳の方が癖があるんだが、と笑いつつ。
ちょうどクッキーを焼き上げて入ってきたファイが『熱いの反対ー!!』などと叫んだりもしたが。
(・・・良かった・・・ケンカしてたんじゃないんだ・・・。)
ほっとして。
何だか夕食の時間が待ち遠しく感じられた。


今夜の夕食は、きっと温かい。


********************************


( ̄▽ ̄;

牛乳嫌いでもあれほど無駄にでかくなれるんか・・・・・。




                 突発SS目次に戻ります

――――――――――――― * ―――――――――――――  


わかったのは『牛乳』の素材が少ないという事(笑)
確かにコーヒーとかに比べたらシンプルすぎますが。
でも玖楼国はラク(らくだ?)のミルクらしいですね。
らくだのミルクは少し薄くて飲みやすいです。

黒様!!空腹時なら、20本ぐらい私が飲んであげるよ!!(自信満々)←本気


           作者・シュウ   2006.10.18UP


inserted by FC2 system