〜銀漢の章〜
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解っている。

オレにだって、予見さきみはできる。
『魔力』を遣うのを禁じている、と決めていても、『見えてしまう』物は止められない。

オレ達は、ここで長く『待たなければ』ならない。

その間、『生きて』いなければ。
『死んでしまう』事は許されない。
この旅の『目的』の為にも。
――――――――――オレの、ネガイの為にも。




―――――――――――――― * ―――――――――――――



とりあえず、オレ自身は『口がきけない』ということで皆が納得している。
たとえ何か言っても、それは『音』であって『言葉』ではないのだと。
オレ自身の『意思』を伝える方法はいくらでもある。

ボディーランゲージ然り。
描画然り。

黒様が聡いせいもあって、ほぼ完璧に近くオレの意思は伝わるようだ。
だとしたら、問題は『オレ自身の側の理解』。
オレが、『相手が何を言っているか』が解らなければ。

黒様と、この夜魔ノ国の人々の『言語』を理解しなければ。

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つんつん。

袖を引っ張ったオレに、黒様は訝しげな目を向ける。
「―――――?――――――――――・・・。」
もちろん、理解できない。
オレは傍にあったテーブルをぽんぽん、と叩いた。
次に黒様に『どうぞ。』といった感じで手を差し伸べる。
同じように、『椅子』。
『弓』。
『矢』。
『蒼氷』。
きょとん、とした顔をしている。
誰の気配も周囲に無いのを確認して。
オレは、自分を指差した。

「ファイ。」

そして、どうぞ、と示す。
オレの仕草をじっと見ていた黒様の、眉間に皺がふっと増えた。
頭をボリボリとかく。
(理解してくれたね。)
だってそれは、『面倒くせぇなぁ・・・・。』という仕草だったから。

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未知の言語を習得する時、手っ取り早いのは『固有名詞』から入ることだ。
特に『名前』などは、若干の発音の相違はあれ、ほぼ万国共通。

「――――――――――。」

黒様は、自分を指差しながら、その『言葉』を繰り返した。
ゆっくり、1音ずつ区切ったりもする。
たとえ面倒でも、この作業の重要性は、黒様が一番よく解っているだろう。
そうでなければ、黒様もずっと身振りでオレに伝えなければならない。
ましてや『絵を描く』なんて事は、その性格から鑑みて、『絶対にやりたくない』だろう。

まどろっこしい、コミュニケーション。

だけど、ある日。

ぱちん!とジグソーパズルのピースが当てはまるように。
すりガラスが一瞬で透明なガラスに変じるかのように。

オレの中に『言葉』が流れ込んできた。
(?!)
黒様が、何かを言った――――――――――。

「あと1刻で出陣だぞ。」

解る。
理解できる。
モコナの翻訳機能に頼らなくても、黒様の言葉が翻訳できる。
オレの『セレス語』に変換できる。

(よし!!)

思わずガッツポーズをする。
何事か?といった顔でオレの方を訝しげに見ていた黒様は、オレの『行動』を見てにや、と笑った。

鎧を手にしたオレを見て。

「解るようになったんだな?」
オレは頷いてみせる。
「それは助かる。てめぇが理解してくれなきゃ、俺は迷惑だからな。」
なんて言いながら、その口元には、笑み。
ある意味、正直で、純粋なその反応に、オレも思わずニヤ、とする。

「行くぞ。今日も『勝たねぇ』とな。」

鎧を着けて、弓矢を取って。
オレは黒様と一緒に部屋を出た。
外は夕闇が迫ってきている。


真実の『羽』よ。
お前が見せる茶番に付き合おうか。
――――――――――哀しい、『夢』、に。




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前回のUPが8月・・・・。^^;

いや〜〜〜朝起きたら、傍に夜魔の神様が立っていらっしゃいまして。(笑)
時々こうやって突然いらっしゃるのです。
いつもはキリリクの神様に押しやられているんですが。
神様も時々は自己主張したいのかも(爆)。
てなわけで、実質執筆時間は5時間でした。(素材探し時間含む)

未知の言語を習得するのに人名などの『固有名詞』から入る。
これは、小さい頃に読んだ本か何かに書かれていたことだったと記憶しています。
探険家の話だったのか、SFか・・・・・。
『キャプテンフューチャーシリーズ』辺りが怪しいな。(うろおぼえ)

あ〜〜〜神様、次は何時いらっしゃいますか・・・・?(前回も言ってませんでしたか、シュウさん。)

               作者・シュウ    2007.12.16UP

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