〜幻日の章〜
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毎日が戦いに明け暮れる。
日本国でも同じといえば同じだ。だが、何かが違う。
その相違点について考えてみた。
まず日本国では知世姫を守る、という事が前提に立っていた―――――――はずだ。
強くなりたい。
俺の強さを知らしめ、さらに大きくしたい。
その望みのままに生きてきた。
衣食住については十分だろうから、その点では切迫感はない。
毎日が生きるか死ぬか。刺客も魔物も襲撃してくる以上、ぎりぎりの状況である事は否めない。
ではこの夜魔の国ではどうだろう?
衣食住は事足りている。この点においては日本国と変わりはない。
俺の強さは十分に証明され、鍛錬をする事でさらに向上しているだろう。
この世界で生きる、それは『小僧達と合流するまで待つ』という目的の為でしかない。
戦いが続いているこの状況下では、命ぎりぎりであるといってもそれは過言ではないだろう。
(では何が違う?)
自問自答してもなかなか答は見出せそうに無い。
魔術師ウィザードに聞こうかと思ったが、考えてみれば口がきけない設定だからどうにもならない。
下手をすればまた必殺の『絵による攻撃』を食らう事になる。
出来ればそれは力いっぱい遠慮したいところなのだ。
「黒鋼、ファイ。王がお呼びだ。すぐに伺候せよ。」
伝令が伝えに来た。やれやれ、と腰を上げる。
思索の途中を邪魔されるのが不本意といえば不本意だが、どうせ結論はすぐには出まい。
だったら事態を進ませる方向のほうがどれほどか実りある事だろう。
見れば魔術師(ウィザード)はすでに仕度を終えて(といっても服に乱れがないか鏡に向かって確認しただけだ)待っている。
「行くか。」
今を、生きなければ。
小僧と姫が、この世界に、この時間に来るその時まで。


―――――――――――――― * ―――――――――――――


相変わらず『人』というものの気配の絶えた部屋に王はいた。
「済まぬな、呼びたてて。くつろいでいたであろうに。」
「問題にならねぇ。大体あんたは王なんだ。誰に遠慮が要る?」
「それもそうだな。」
軽やかに笑う。しかしその笑い声に、笑顔に。
『人ならぬ色』が見え隠れする。
「呼んだのは私だ。ともあれ酒でも一献。」
侍従に命じて運ばれてきたのは、杯に並々と注がれた芳酒。
日頃俺たちが口にする酒とは格も違うようだ。思わず喉が鳴る。
傍らで魔術師ウィザードがぷっと吹き出した。
「笑うんじゃねぇ。」
睨んだところで聞いちゃあいないだろうが、そうでないと示しがつかない。
大体自分だってザル通り越してワクのくせに、こういう時だけいかにも自分は飲めません的な顔をしやがる。
「まあそういう顔をするな、まずは飲み給え。話はそれからだ。」
ここはお言葉に従うとしようか。俺は最初は一口舌の上で転がしてから一気に飲み干した。
「・・・・・いい酒だ。」
「気に入ってくれたのなら何よりだ。」
傍に控えた侍従が杯に酒を満たす。ふと見れば、ちゃっかり魔術師ウィザードも杯を空にしていた。
(抜け目の無ぇ奴だ。)
俺の心のつぶやきが聞こえるわけも無かろうが、魔術師ウィザードはへら、と笑って見せた。
王は手を払って合図をした。侍従は一礼して下がっていく。
「・・・・・さて、おまえ達が来てもう半年になったな。」
「あぁ。」
そう、半年。ずいぶん長く居たものだ。
しかし小僧達と合流するまでは何としても、それこそ何年でも待たねばならない。
あの小僧こにくらしい次元の魔女と連絡する手段が無い以上、移動は不可能だ。
ここに居つづけたいと思ったことは一度も無い。
俺は日本国に帰りたいのだから。
だから、本当は早く移動したい。それが許されないというのは何ともどかしい事か。
この国の命運など、知ったこっちゃない、のだが。
「本当はお前達には大いに期待していた所がある。」
「どんな風に?」
「お前達という『外の存在』の介入によって、膠着状態に風穴を開ける事が出来るのではないかとな。」
「買いかぶり過ぎだな。期待に添えなくて済まねぇが。」
「そういう意味では残念だ。」
静かに杯に口をつける王の喉元を凝視する。
確かにこくりと飲む音がして、量も減っている。
だが。
その喉は嚥下の兆しすら見せてはいない。
ただ『通過している』というだけの。
いや『本当に通過している』のか?
それすらも定かではない。俺は魔術師ウィザードではないから、そこまで見切る事は出来ないだろう。
王が笑った。
「お前の考えている事を当てて見せようか。」
その微笑みは、人外のモノのものだった。




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一気書きです(笑)。
夜魔の神様、呆れておられるような気が。^_^;
まあまとめて執筆する時間が取れただけなんですが・・・・・。
続きもぼちぼち書いていきます。

         作者・シュウ    2009.05.07UP

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